邦銀の競争力は上がるのか?
銀行、証券、保険会社に設けられた業態間のファイアーウォール規制が6月から緩和される。
役員の兼職規制撤廃や、顧客情報の共有が認められ、各業態を傘下に置くメガバンクの国際競争力強化が期待されている。
特に銀・証垣根の見直しは、投資銀行業務(証券業務)への進出を狙ってきた邦銀の悲願だ。
しかし、皮肉なことに昨年のリーマン・ショック以降、存亡の危機に瀕した米投資銀が、政府援助を受けやすい銀行持ち株会社に衣替えし、延命を図っているのは周知の事実。
投資銀行業務を取り込み、邦銀の収益力向上を目指すのが規制緩和の目的だったが、世界の潮流から見ると、「周回遅れ」の感は否めない。
この規制緩和が金融審議会(首相の諮問機関)で審議されたのは2007年のこと。それに基づき、金融商品取引法が改正されたのは08年6月。その後、リーマン・ショックとなったわけだが、金融庁は11月に内閣府令案を公表。着々と準備を進めてきた。
三菱UFJフィナンシャル・グループによる米モルガン・スタンレー日本法人との傘下証券統合、三井住友フィナンシャルグループによる日興コーディアル証券買収など、日本だけが周回遅れの金融コングロマリット化を進めている。
金融庁は、「金融機能強化のためにはファイアーウォール規制の見直しが必要」とするが、果たして本当に邦銀の競争力は上がるのだろうか。
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