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2014年5月21日

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井上久男 (いのうえ・ひさお)

ジャーナリスト

1964年生まれ。88年九州大学卒業後にNEC入社。92年朝日新聞社に転職。主に経済部で自動車や電機産業などを担当。2004年に独立。著書に『メイド イン ジャパン 驕りの代償』(NHK出版)。近著は『自動車会社が消える日』(文春新書)。

カイゼンの本家
トヨタも参画

 「見える化」の本家本元であるトヨタ自動車も4月から、「カイゼン」や生産管理のノウハウを活用した農業IT管理システム「豊作計画」を開発、農家に提供を始めた。利用料金は年間で、作業者1人あたり6万円、管理者1人あたり12万円。

トヨタが開発し、愛知県と石川県の米生産農業法人9社に4月から提供を開始した農業IT管理ツール「豊作計画」の管理画面
(提供・トヨタ自動車)

 当面トヨタのシステムが対象とするのは、小規模農家から田植えや稲刈りなどの作業委託を受ける大規模農業生産法人。こうした作業委託では、耕作地が広範囲に分散している中で、限られた人員と日数の中で効率的に作業を進めなければならない。トヨタのシステムはクラウドサービスで、スマートフォンやタブレット端末から利用できる。端末経由で作業場所などが指示され、作業が終わって入力すれば共有データベースで管理者が確認できるほか、端末への入力によって日報作成の手間も省くことができる。

 トヨタ新事業企画部の喜多賢二主任は「トヨタの生産工程管理と同じように、稲作にも作業と作業の間に標準リードタイムという考え方を導入して効率性を向上させた」と解説。トヨタはサービス開始に当たり、3年前から大規模に稲作を請け負う農業生産法人・鍋八農産(愛知県弥富市)とシステム開発に取り組んだ。

 そこでは、稲作作業を、育苗、田起こし、代かき、田植え……稲刈りといった具合に工程と、農機費、資材費、労務費などの生産コストをそれぞれ「見える化」、経営指標を管理しやすくすることから始めた。また、温室内で常に満杯で育苗していたやり方を、必要な苗を必要な量だけ栽培するように改めて、捨てる苗を減少させたことなどによって資材費25%が削減できた。

 トヨタは4月から農水省の「先端モデル農業確立実証事業」に参画、鍋八農産を含めた愛知県と石川県の農業生産法人9社や両県庁と協力して「米づくりカイゼンネットワーク」を立ち上げた。「豊作計画」を提供すると同時に、システム改良にも取り組む。将来的には米以外の野菜などにも応用していく。喜多氏は「日本の農業の活性化や競争力強化に貢献したい」と語る。

◆WEDGE2014年6月号より









 

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