2024年12月27日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年5月26日

 確かに、戦犯が合祀されている靖国を、安倍とその他の政治化が参拝することで、友人たちを疎遠にしていることは事実である。米国は、代わりに国立墓地に敬意を表することで、靖国参拝への非難を表明している。しかし、天安門に、20世紀最大の大量虐殺を行った毛沢東の肖像を掲げ続けている人々は、もっと控えめであるべきである。

 中国の報道官は、日米同盟を冷戦の残滓だと言った。しかし、北京が冊封体制の時代への回帰を熱望していることが、同盟を再び前面に押し出すこととなった。

 大統領の訪問は多分に象徴的なものであり、オバマの訪問は、民主国家による同盟の団結にとって必要なメッセージを発した、と述べています。

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 日米同盟の再確認に対するオバマの態度を支持している社説であり、日本側としては、まことに有難く、何ら注文を付けるところはありません。

 社説が指摘している、尖閣への日米安保適用、日本の集団的自衛権行使容認は、日米首脳会談の共同声明にも盛り込まれました。本来、中国の勃興による東アジアのバランス・オブ・パワーの変化に直面して、日米同盟として執るべき当然の態度を表明したのが今回の首脳会談であり、いままで、それを表明するのに躊躇しているかのごとく見えたのがおかしかっただけです。

 社説は、特に後半部分で、中国を意識して議論を進めています。すなわち、オバマの発言は、米国が日本の軍国主義復活を恐れているとする中国側の希望的観測への反駁になっていると指摘し、共産党がまくしたてている反日プロパガンダが他国では通用しないと納得すべきである、と言っています。

 こうした認識がオバマ政権最後の2年半の間の指導原理として維持されるならば、日米関係は強化され、地域の安定と平和に役立つことになると期待できます。

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