2024年12月27日(金)

World Energy Watch

2014年6月9日

 価格競争力のある電気から順次購入されるために、FITとの比較では消費者の負担額は少なくなるはずだが、それでも電気料金はRPSが導入されていない州より大きく上昇している。電気料金は発電設備の構成比により大きく異なる。今年4月の全米平均の家庭用電気料金は、1kW時当たり12.26セントと、日本の約半分だが、日本と同じく燃料を輸入するハワイ州の料金は38.51セントと日本の1.5倍。一方、褐炭で発電しているノースダコタ州の料金は全米最低の8.64セントとハワイ州の4分の1以下だ。

 設備構成の影響を排除するために、石炭火力が主体の14州の電気料金の上昇率を、RPS法を導入した7州としていない7州で比較した米国の研究機関によると、2000年から10年までの導入州の上昇率は平均54.20%、非導入州では平均24.33%だ。RPS法による再エネ導入支援は、相対的に大きな電気料金の上昇を引き起こしている。

再エネ法を凍結するオハイオ州法案

 再エネ導入により州の電気料金が上昇し、州の競争力が低下することを懸念する議員により、13年から多くのRPS法見直し法案が州議会に提出されるようになった。13年に提出された法案は100を超えている。カンザス州議会上院では見直し法案が可決されたが、下院の可決が得られず、廃案となった。今年5月にはオハイオ州の上院で、RPS法を2年間凍結しその間に今後の運用について検討を行う法案が可決された。オハイオ州では08年にRPS法が制定され、25年に発電量の25%を代替エネ、12.5%を再エネで供給することが目標とされている。さらに、節電目標も織り込まれ25年に電力消費を22%削減するための設備設置なども目標とされている。

 共和党が多数を占める上院の議長と共和党の知事は、本法案に関し次の声明をだした。「RPSの目標は非現実的であり、電気料金を上昇させ、オハイオ州の景気回復、雇用に悪影響を与えている。しかし、代替エネルギーの開発は重要であることからRPSを葬り去ることはせず、凍結し、産業と消費者にとり受け入れ可能な価格の新エネルギー源を育てることにした」。

 中間選挙に立候補予定の民主党知事候補者は、この法案を強く非難する声明をだしている。その主旨は次の通りだ。「この法案によりオハイオ州の経済は後退することになり、環境にも雇用にも間違いなく悪影響を生じることになる。知事はオハイオ州の経済と中間層を守るために、法案に拒否権を使うべきだ」。

 再エネ関係団体などは、州知事、議員に廃案を呼びかけるファックスを送るように呼びかけるなど、まだ法案の行方は不透明だが、州知事は夏の休会前には決着をつける意向と報道されている。


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