2024年11月22日(金)

オトナの教養 週末の一冊

2014年6月27日

 科学者と市民が語り合うサイエンスカフェ。大学や研究所、市民団体などの手で、ゆっくりとではあるが各地に定着してきた。

 東日本大震災にともなう福島第一原子力発電所事故をきっかけに、科学者や科学そのものへの信頼がゆらぐなか、科学者が象牙の塔から外へ出て、率直に語りかける活動はますます重要になっている。

バラエティ豊かな話題とおいしいコーヒー、
話題にちなんだ創作デザートも

『サイエンスカフェにようこそ! 5  科学と社会が出会う場所』(室伏 きみ子 著、冨山房インターナショナル)

 本書のもとになっている「サイエンスカフェ@フォリオ」は、日本学術会議と冨山房インターナショナルの共催で2006年から開かれている。

 場所は本の街、神田神保町の喫茶室「サロンド冨山房フォリオ」。コーディネーターは、お茶の水女子大学の室伏きみ子名誉教授。ほぼ月1回のペースで最先端の研究に携わる科学者を招き、バラエティ豊かな話題とおいしいコーヒー、そして「フォリオ」店長手づくりの、話題にちなんだ創作デザートを提供している。

 「サイエンスカフェにようこそ! 」のシリーズは、コーディネーターの室伏先生みずから編著者を務め、都度、まとめられてきた。これまでに特別号『地震・津波・原発事故・放射線』を含む5冊を上梓した。

 「参加者の方々と共に会場の雰囲気を楽しんでいただきたいと、そこで繰り広げられている楽しいお話やディスカッションの雰囲気を、できるだけ忠実に再現できるよう心掛けました」という。

量子力学の成立過程
放射線研究の歴史をひもときながら

 本書は、2010年4月から1年間にわたり開かれた「サイエンスカフェ@フォリオ」の記録で、シリーズ6冊目にあたる。

 ボランティアで話題を提供する科学者の専門分野はバラエティに富み、コーディネーターの並々ならぬ力量と人脈の豊かさを感じさせる。


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