たとえば、炭素。まず、炭素は「生命体をつくる基本元素」と紹介される。また、20世紀後半の石油化学工業の勃興とその恩恵を端的に示すため、コンビナートを背景に、プラスチック、ゴム、合成繊維、ペットボトル、シャープペンシルなどを文字や絵で入れた。
さらに、わが国の研究者の貢献を表現しようと、「フラーレン」というサッカーボール型の炭素を描きこんでいる。一つひとつの元素が「かるた」の札のように美しく、簡潔に紹介されているのには、驚いた。
日本人研究者が発見した113番目の元素の話や、レアメタル、レアアースなど最近の話題にもふれており、元素周期表が常に新しくなっていることに改めて目を見開かせられた。
本書のどのページを開いても、「サイエンスの楽しさやサイエンスによって創られる未来への希望を、皆様に伝え続けたい」という科学者の情熱が、淹れたてのコーヒーのように熱く、かぐわしく伝わる。
「科学と社会が出会う場所」を、まずは本書を通して、覗いてみてはいかが?
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