このように、中露関係では中国が優位にある。中国は、豪州や中央アジアからもガスを調達でき、強大化しつつあるのに対し、腐敗と資源依存経済から脱却できないロシアは衰退しつつある。また、両国は、結束して米国に対抗しようとする反面、米国の安定化の力や市場は必要としており、中央アジアでは互いに影響力を競っている。さらに、人口が疎らで資源豊富なロシアと、人口過多の中国とを分かつ長い国境線は恒常的な不信感の源であり、だからこそ、ロシアの多くの戦術核は中国に向けられている。要するに、長期的に中露が離反する可能性は、同盟を結ぶ可能性と同じぐらいある、と述べています。
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今回の中露エネルギー交渉の詳細は分らないが、客観的に見て、中国が押し切って、妥結に至ったとみるべきでしょう。
ロシア経済は、このままでもアメリカのシェール・ガス、オイルの開発で次第に劣勢となっていくことは明らかな状況で、まして、ウクライナ情勢をめぐって、西側の制裁でそれが加速される状況にあります。中国に突破口を見出すことは、死活的とまでは言わなくても、どうしても必要な状況にありました。これに対して、中国経済は、購買力平均ではGDP世界最高を目前にして余裕綽綽であります。
チベット問題などを抱える中国が、クリミアにおける民族自決運動を支持できないという議論も散見されますが、中国としては、むしろ、国連が、国家の主権問題に介入すること自体に反対の方が強く、その点国連決議に同調しない動きをすることは、ロシアの立場に対する支援と言うよりも、中国自身の原則的立場から来るものではないかと思います。
しかし、中露が、1949年(中華人民共和国成立)〜1956年(スターリン批判の年)までのような蜜月関係に戻るとは到底思えません。ロシアはクリミア問題以来ヨーロッパで孤立を深めていると言っても、ドイツなどは友好感情を持っていますし、また、ヨ-ロッパにおける軍事対決の可能性は皆無です。むしろ強圧的態度で、地域の孤立を招いているのは中国の方で、ロシアが、それに付き合う必要性は小さいです。特に、対日態度で、ロシアが中国につきあう必然性はあまりないでしょう。
まだまだ、局地的あるいは、経済に限った部分的外交ゲームの一つと考えるべきでしょう。
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