アメリカのドナルド・トランプ大統領は16日、ヴェネズエラに出入港する、すべての制裁対象の石油タンカーについて、「全面的かつ完全な」封鎖を命じたと明らかにした。
トランプ氏は自分のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」への投稿で、ヴェネズエラのニコラス・マドゥロ政権を外国テロ組織に指定したと発表。同政権がアメリカの資産を盗み、「テロや麻薬の密輸、人身売買」を行っていると非難した。
そのうえで、「したがって今日(16日)、私はヴェネズエラを出入りする、すべての制裁対象の石油タンカーに対する全面的かつ完全な封鎖を命じる」と、トランプ氏は付け加えた(編注:太文字は原文で全て大文字)。
6日前の10日には、米軍がヴェネズエラ沖で石油タンカーを拿捕(だほ)したとトランプ氏が発表し、ヴェネズエラ政府が同氏の「グロテスクな脅し」を一蹴する声明を出す事態となった。
トランプ氏は16日の投稿で、ヴェネズエラは「南米史上最大の艦隊に完全に包囲されている」と述べた。
そして、それは「大きくなる一方」で、「彼ら(ヴェネズエラ)がこれまで見たことないようなものになる」だろうと付け加えた。
トランプ氏はまた、マドゥロ政権が盗んだ石油を「自らの資金調達や麻薬テロ、人身売買、殺人、誘拐」のために利用していると非難した。
トランプ政権はヴェネズエラが麻薬を密輸していると繰り返し非難しており、9月以降、米軍はフェンタニルなどの違法薬物をアメリカに運んでいたとする船舶への攻撃を続けている。こうした攻撃で、少なくとも90人が殺害された。
アメリカはここ数カ月の間に、ヴェネズエラ沖に軍艦を派遣している。
世界最大級の石油埋蔵量を誇るヴェネズエラは、同国の資源をアメリカが奪おうとしていると非難している。
アメリカは、ジョー・バイデン前政権そしてトランプ政権の下で長年、マドゥロ政権に対抗的な姿勢をとり、厳しい制裁を科してマドゥロ氏に退陣を迫ってきた。
こうした中、アメリカは先週、ヴェネズエラ産原油を輸送していたとされる船舶6隻に新たな制裁を科した。
アメリカの制裁措置は、マドゥロ氏の親族数人や、マドゥロ政権に関連する複数企業にもおよんだ。アメリカはマドゥロ政権は非合法だとしている。
この前日には、ヴェネズエラ沖でタンカーを拿捕したとアメリカは発表した。
米ホワイトハウスは拿捕した船「スキッパー」号について、外国のテロ組織を支援する不正な石油輸送ネットワークに関与していたとし、米国内の港へ移送されると説明した。
ヴェネズエラ政府はアメリカによる拿捕を非難。マドゥロ氏は、アメリカが「乗組員を誘拐」し、船を「盗んだ」と述べた。
アメリカは船舶を拿捕する数日前から、ヴェネズエラの北に位置するカリブ海で、軍事的な存在を強化。ヴェネズエラを攻撃可能な位置に、兵士数千人と、世界最大の空母ジェラルド・フォードを展開した。
野党・民主党のホアキン・カストロ下院議員(テキサス州)は、トランプ氏による「海上封鎖はまぎれもなく戦争行為だ」と指摘した。
そして、米議会が18日に「ヴェネズエラとの敵対行為をやめるよう(トランプ)大統領に指示する」決議案の採決を行うと、付け加えた。
(英語記事 Trump orders blockade of sanctioned oil tankers in and out of Venezuela)
