事件発生後、現場には多くの人が集まっている(15日)
オーストラリア・シドニー近郊のボンダイビーチで14日に発生した銃撃事件で、拘束されたナヴィード・アクラム容疑者(24)が17日、殺人15件とテロ行為1件を含む59件の罪で訴追された。ニューサウスウェールズ州の警察が発表した。
ナヴィード被告の父親で、共に銃撃を行ったとされるサジド・アクラム容疑者(50)は、現場で警察と撃ち合いとなり死亡した。
事件では15人が殺害され、数十人が負傷した。ユダヤ教の祝祭ハヌカ初日を祝うイベントに集まっていたユダヤ人コミュニティーを標的にした襲撃だったとみられている。
オーストラリアで発生した銃撃事件としては、1996年以降で最も死者が多い事件となった。
ナヴィード被告は、殺人の意図をもって重大な身体的損傷を与えた罪40件に加え、禁止されているテロ組織の象徴を公然と表示した罪1件にも問われている。
ニューサウスウェールズ州の裁判所によると、同被告は14日の事件で重傷を負い、病院のベッドから初公判に臨んだ。
裁判は2026年4月まで閉廷となると、同裁判所は付け加えた。
ニューサウスウェールズ州警察のマル・ランヨン長官は17日、正式な取り調べを行う前に、薬の効果が切れるのを待っていると述べた。
ランヨン氏は「彼自身の公平性のために、何が起きているのかを彼に正確に理解してもらう必要がある」と語った。
攻撃で負傷した20人はシドニー各地の病院に入院しており、そのうち1人は依然として重体だ。
警察はこの攻撃をテロ事件と認定している。オーストラリアのアンソニー・アルバニージー首相は、容疑者らが武装組織「イスラム国(IS)」の思想に「動機づけられたようだ」と述べた。
警察によると、容疑者らが使用したとみられる車両から「自家製」のISの旗や即席爆発装置が見つかった。
16日には、父子がボンダイビーチでの攻撃の1カ月前に、フィリピンを訪れていたことが明らかになった。
フィリピンの入国管理局はBBCに対し、2人が11月1~28日に同国に滞在していたと述べた。最終目的地は南部のダヴァオ市だったと、入国管理局の広報担当者は語った。
フィリピンの国境管理当局はBBCに対し、ナヴィード被告はオーストラリアのパスポートを、サジド容疑者はインドのパスポートをそれぞれ使用して入国したと述べた。
サジド容疑者はインド南部ハイデラバード出身だが、同地の家族との「接触は限られていた」と、インド・テランガナ州の警察当局者は述べている。
死亡した15人には、2人のラビ(ユダヤ教の宗教指導者)、ホロコースト生存者、そして10歳の少女が含まれている。少女の名前はマティルダさんだと、家族が発表した。
襲撃の初期段階では、銃撃犯の1人ともみ合いになったボリス・ガーマン氏と妻のソフィア・ガーマン氏も犠牲となった。
さらに、2人の警察官を含む27人が負傷し、病院に搬送された。
警察官の1人、ジャック・ヒバート氏(22)の家族は声明で、同氏が片目の視力を失い、「長く困難な回復」を強いられると発表した。
もう1人の警察官は、シドニー各地の病院に入院している21人の中に含まれている。
17日午前には、この事件の犠牲者の最初の葬儀が行われた。イギリス出身のラビ、エリ・シュランガー氏の葬儀には、数千人のオーストラリア人が参列した。
ラビのレビ・ウォルフ氏は葬儀の中で、シュランガー氏の死は「言葉にできないほどの損失」だと述べた。
「エリは、最も愛していたことをしている最中に、私たちと引き裂かれた」
「愛と喜びを広め、人々を無限の自己犠牲で支え続けた彼は、生涯とその死において、最も高貴で聖なる魂の一人としてそびえ立っていた」
他の犠牲者の葬儀も今週中に行われる予定。10歳のマティルダさんの葬儀は18日に予定されている。
(英語記事 Naveed Akram charged with 15 counts of murder over Bondi shooting)
