米下院の民主党議員らが18日に新たに公開した写真には、エプスティーン元被告（右）と話すバノン氏の写真が再び含まれていた
アメリカ連邦議会下院監視委員会の民主党議員らは18日、性犯罪で有罪とされたジェフリー・エプスティーン元被告（故人）に関連する写真約70点を公表した。民主党がこうして元被告関連の資料を公開するのは3回目。一部の写真には、ウラジーミル・ナボコフ作の小説「ロリータ」の本と共に、小説からの引用文が書かれた女性の体のさまざまな部分が写っている。「ロリータ」は、少女に性的に執着する中年の文学教授の物語。
ほかには、リトアニア、ロシア、チェコ、ウクライナなどの外国政府が複数の女性に発行したパスポートや身分証の写真が、一部を黒塗りされた状態で公表された。
写真はいずれも、エプスティーン元被告の遺産管理団体に委員会が召喚状を送付して受け取った9万5000枚以上の画像の一部だという。
連邦議会は11月、司法省にエプスティーン元被告関連の捜査資料を文書を公開するよう命じる法案を可決。自分の支持基盤から再三の圧力を受けたトランプ氏は、法案を11月19日に署名・成立させている。法律は、司法省に対し、元被告に関する捜査で得たすべての情報を30日以内に「検索とダウンロードが可能な形式で」公開するよう命じるもので、その期限の12月19日が近づいている。
「これらの新しい画像は、司法省が保有しているものについて、さらに多くの疑問を投げかける」と委員会の筆頭委員ロバート・ガルシア下院議員は述べた。
エプスティーン元被告は2008年、未成年者に性行為を勧めたとして有罪とされ、性犯罪者として登録された。2019年7月に未成年者の性的人身取引の罪で起訴され、その翌月、裁判を待つ間にニューヨークの拘置所内で死亡した。
公開された写真の内容は
今回公開された写真の中には、エプスティーン元被告が自家用機内で、言語哲学者で活動家のノーム・チョムスキー・マサチューセッツ工科大学教授と話している様子や、ドナルド・トランプ米大統領の元顧問スティーヴ・バノン氏がエプスティーン元被告と机を挟んで座っている様子を撮影したものが含まれる。マイクロソフト創業者ビル・ゲイツ氏が、顔を黒塗りされた女性と並んでいる写真や、アルファベット元社長のセルゲイ・ブリン氏が夕食会に出席している写真も含まれる。
BBCはそれぞれにコメントを求めている。
下院監視委が公開した写真に写っていること自体は、不正行為の証拠ではない。写真に登場する多くの男性は、自分は元被告の違法行為に関与していないと述べている。
同委がこれまでに公開した写真には、トランプ大統領、ビル・クリントン元米大統領、映画監督のウディ・アレン氏、ラリー・サマーズ元米財務長官、著名弁護士のアラン・ダーショウィッツ氏、英王室のアンドリュー・ウィンザー・マウントバッテン氏など、さまざまな著名人が写っていた。
写真公開に伴う声明で、下院監視委員会の民主党議員たちは写真について、エプスティーン元被告の遺産管理団体が写真の文脈や撮影時期を提供しなかったと説明した。
「写真は、遺産管理団体から受け取った写真の代表的なものを公開することで、エプスティーンのネットワークと極めて不穏な活動について、知見を提供するために選ばれた」と民主党議員たちは声明は述べている。
公開された写真の中は、ナボコフ作の小説「ロリータ」の引用が黒インクで女性の胸、足、腰骨、背中などに書かれたものが、複数含まれている。女性の胸元に書かれた引用文の一つには、「ロ・リー・タ：舌の先が口蓋（こうがい）を三歩下る旅に出て、三の合図で歯に触れる」とある。
ほかには、リトアニア、ロシア、チェコ、ウクライナなどの外国政府が複数の女性に発行したパスポートや身分証の写真が公表された。
名前や生年月日などの情報はほとんど黒塗りされているが、下院監視委員会は声明で、パスポートは「ジェフリー・エプスティーンとその共謀者が関与していた女性たち」のものだと述べた。
別の写真では、エプスティーン元被告が、女性3人に囲まれている。女性たちは顔を黒塗りされている、1人はシャツの下でエプスティーン氏の胸に手を置き、もう1人は近くのノートパソコンをのぞき込むためにしゃがんでいる。エプスティーン氏は残る1人がブレスレットを着けるのを手伝っているように見える。
ショートメッセージを撮影した別の写真には、「友達のスカウトが、女の子を何人か送ってきた」、「でも1人あたり1000ドル要求されている」などの文面が写っている。「今からそっちに女の子たちを送る」「Jの気に入る子もいるかも？」などとも書かれている。
さらに、女性の名前と身長体重や「出身国ロシア」などの詳細も書かれている。個人情報は黒塗りされており、メッセージが誰から誰にあてられたものかは不明。
司法省が持つ捜査資料公開の締め切り迫る
下院委は、元被告の遺産管理団体から入手した画像を数千枚保有している。同委は18日の声明で、写真には「生々しいものもあれば、どうということのないものもある」と説明した。
同委は今年8月、元被告の遺産管理団体に対し召喚状を発行。同団体が委員会に提供した写真やファイルは、「エプスティーン・ファイル」と一般的に呼ばれる司法省の捜査資料とは別。
トランプ大統領が先月署名した「エプスティーン・ファイル透明化法」に基づき、司法省は12月19日までにファイルを公開しなくてはならないが、その内容の多くは、下院監視委員会の資料と同様に大幅に黒塗りされる可能性が高い。
（英語記事 Democrats release latest batch of Epstein photos as justice department deadline looms）
