カンボジア・ポイペトの国境検問所。ポイペトはタイとの国境地域では最大の町で、カジノの拠点として知られる(18日)
タイとカンボジアの国境地域における衝突で、タイ軍は18日、カンボジアの町ポイペト近郊の「後方支援センター」を爆撃したと発表した。ポイペトは多くのカジノがある、国境地域の主要な町。衝突は収束の気配がみられない。
今回の衝突でポイペトが爆撃されたのは初めてとみられる。ポイペトは、ギャンブル好きのタイ人の間で人気のカジノと、国境検問所で知られる。
タイ空軍の広報官は、ポイペト郊外にある、多連装ロケット砲「BM-21」を保管していたセンターを攻撃したと説明した。また、民間人に被害はなかったとした。BM-21は装甲車の後部から発射されるのが一般的。
この発表に先立ち、カンボジア国防省も、タイ軍が18日午前11時ごろ、ポイペト周辺に爆弾2発を投下したと発表した。
両国間の戦闘は今月に入って再燃している。これまでに、タイで少なくとも21人、カンボジアで17人が死亡。当局によると、避難を強いられた人は約80万人に上る。
タイ当局は、カンボジアがポイペトの検問所を閉鎖したことで、タイ人5000~6000人がポイペトに足止めされていると16日に発表した。
カンボジア内務省は国境の閉鎖について、民間人にとってのリスクを低減させるための「必要な措置」だと主張。出国を望む人の選択肢としては、航空便の利用があるとした。
アンコールワットがある州にも爆撃
両国は100年来、国境紛争を続けている。7月24日にカンボジアがタイにロケット砲を発射し、タイが空爆を実施したことで、事態は急速に深刻化。激しい戦闘が5日間続き、数十人の兵士と民間人が死亡した。
両国はその後、マレーシアのアンワル・イブラヒム首相とアメリカのドナルド・トランプ大統領が仲介した「即時かつ無条件の停戦」に合意した。トランプ氏は当時、戦闘が停止するまで、アメリカは当事国との関税交渉を停止すると圧力をかけた。
しかし先週、空爆や砲撃が再びあり、停戦合意は崩壊。双方は、相手側が戦闘を再燃させたと非難しあっている。
トランプ氏は先週、自分が電話をするだけで戦闘は止められると主張した。だが、その後も戦闘は続いている。
カンボジアは今週、観光客に最も人気のアンコールワットがあるシェムリアップ州を、タイ軍が爆撃したと非難した。同州が爆撃されたのは、今回の衝突では初めてだった。
(英語記事 Thailand bombs near Cambodia's Poipet border crossing)
