2025年12月19日(金)

BBC News

2025年12月19日

ピーター・ホスキンズ ビジネス記者

日本が生活費高騰に直面する中、日本銀行は19日の金融政策決定会合で、政策金利を0.75%程度に引き上げると決めた。30年ぶりの高い水準となる。

植田和男総裁率いる日銀政策委員会の今回の決定は、広く予想されていた。高市早苗首相がインフレを抑制したい一方、政府の借入コストを低く保つ必要がある中の決定となった。1月以来の利上げは、高市氏と植田氏が現職に就いてから初めて。

中央銀行が金利を引き上げると、通常はその国の通貨価値を高める効果がある。

日本の場合、円の価値が米ドルやユーロなどの主要通貨に対して低いことが輸入コストを押し上げ、それがインフレを助長してきたため、円高はインフレ緩和につながる可能性がある。一方で、金利の上昇は政府の借入コストを押し上げる。金利が上がると、政府も他の借り手と同様に、資金を借りるためにより多くを支払わなければならないからだ。

高市氏は昨年9月、「金利をいま上げるのはアホやと思う」と発言していた。しかし、10月に首相となって以来、植田総裁の政策を公に批判してはいない。

それでも、物価高騰が自民党の支持低迷の一因となっている状況で、高市氏はインフレ対策を優先事項としている。

総務省が19日発表した11月の消費者物価指数(CPI、2020年=100)は、変動の大きい生鮮食品およびエネルギーを除くと111.6で、前年同月と比べて3%上昇した。これは依然として日銀目標の2%を上回っている。

しかし、みずほ証券の大森翔央輝チーフ・デスク・ストラテジストはBBCに対し、今回の利上げは為替市場で既に織り込まれており、円は依然として比較的弱いため、インフレ緩和にはほとんど効果がないだろうと話した。

ほとんどのエコノミストは、日銀が政策金利を来年もう一度引き上げ、1%台にのせると予想している。

その場合、日本で政策担当者の金利政策が大きく変化することになる。

「日本でほぼ30年続いた低金利からの、歴史的な転換を目にしている」と、ロンドン証券取引所グループに属するパシフィックFTSEラッセルのジュリア・リー氏は述べた。

しかし、金融政策への高市首相の姿勢から、日銀が利上げを繰り返すのは難しいかもしれないと、オックスフォード・エコノミクスの日本経済部門トップ、長井滋人氏は言う。

「日銀はおそらく、最終的な判断を下す前に、利上げが実体経済に与える影響を監視するために、6カ月程度の時間を必要とするだろう」と、長井氏は述べた。

日銀による今回の利上げは、世界の他の主な中央銀行が逆方向に動き、借入コストを引き下げている中での決定となった。

イングランド銀行は18日、主要金利を4%から3.75%に引き下げた。これでイギリスの金利は、2023年2月以来の最低水準となった。

アメリカでは10日、連邦準備制度理事会(FRB)が連邦公開市場委員会(FOMC)を開き、3会合連続となる0.25ポイントの利下げを決め、過去3年で最も低い3.50-3.75%の範囲に設定した。ただし、今後の追加利下げについては内部の対立から見通しが不透明となっている。

(英語記事 Japan hikes interest rate to highest level since 1995 as inflation bites

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c4g5vr8zddyo


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