トランプ氏に対する捜査について米下院司法委に非公開で証言するため下院を訪れたスミス元特別検察官(2025年12月17日、ワシントン)
米連邦議会下院の司法委員会は12月31日、ジャック・スミス元特別検察官による証言記録を公開した。ドナルド・トランプ氏に対する刑事捜査2件(現在は捜査終了)を主導したスミス氏は12月17日に司法委に出席し、トランプ氏を起訴するという自分の判断の正当性を主張していた。
バイデン政権下の2022年11月に司法省によって特別検察官に任命されたスミス氏は、当時は前大統領だったトランプ氏を2回起訴した。2020年大統領選の結果を覆そうとしたとされた事件と、機密資料を不正に取り扱ったとされた事件での違法行為40件についてだった。
下院司法委が31日に公表した証言記録は、255ページに及ぶ。記録の中でスミス氏は議員からの質問に答え、トランプ氏を2件の事件で起訴したことは正当な判断だったと主張した。公開された中には、スミス氏による約8時間に及ぶ証言映像も含まれている。
トランプ氏は全ての罪状について無罪を主張し、再選後に起訴は打ち切られた。トランプ氏は大統領に返り咲いた後、自分を起訴した当局者について捜査するよう要求している。
非公開で行われた証言の中でスミス氏は、「トランプ大統領を起訴するという決定は私がしたものだが、その根拠は全面的に、トランプ大統領と彼の行動にある」と発言している。
元特別検察官は、「トランプ大統領が2020年の選挙結果を覆し、合法的な権力移譲を阻止するための犯罪計画に関与したと、合理的疑いの範囲を超えて立証する証拠」を捜査を通じて固めたのだと主張した。
スミス氏はさらに、自分が率いた捜査チームは「トランプ大統領が2021年1月に退任後、極秘扱いの機密文書を故意に保持し、それを自分の社交クラブの大宴会場や浴室に保管していたと示す、強力な証拠も固めた」と述べた。
トランプ氏が「こうした文書の保持を隠すため、司法を繰り返し妨害しようとした」とも、スミス氏は述べた。
BBCは31日、ホワイトハウスにコメントを求めたが、ホワイトハウスはまだ応じていない。
トランプ氏は2023年に機密文書事件で起訴された際、「アメリカにとって暗い日だ」と述べた。この事件については、フロリダ州の連邦地裁判事が2024年に起訴を棄却した。
トランプ大統領は、2021年1月6日の連邦議会襲撃について、自分は不正行為を一切していないと繰り返している。トランプ氏は2024年10月の時点で、議会襲撃について「問題のあることは、何もなかった」、「あれは愛の日だった」と主張した。トランプ氏はホワイトハウスに戻ると、大統領令によって、議会襲撃で有罪とされた1500人以上に恩赦を与えた。
トランプ氏が2期目を開始する直前には、スミス氏による特別検察官としての最終報告書が公表された。その中でスミス氏は、「裁判で有罪判決を得るのに十分な」証拠があったとし、昨年の大統領選で当選していなければ有罪となっていただろうと書いていた。
今回の下院司法委での質疑において、野党・民主党の議員たちは、トランプ氏がスミス氏らに報復しようとしているのではないかと重ねて質問した。トランプ政権はスミス氏とそのスタッフを解雇した。
「大統領が私に報復しようとしていると、疑いようもない」とスミス氏は答えた。さらに司法省は今や「トランプ大統領に対する事件について職務としてかかわった人間は誰でも、報復しようとしている」と付け加えた。
ジャレッド・モスコウィッツ議員(民主党、フロリダ州)は、下院司法委がスミス氏を召喚して証言させることになったのは、トランプ氏が同委のジム・ジョーダン委員長(共和党)にそうするよう指示したからだと思うかと質問した。
これに対してスミス氏は、自分にはわからないとして、「私は誠意を持ってここにいる」と述べた。
スミス氏はまた、捜査チームが特定の議員の通話記録を要求したことについて証言した。通話記録の要求は当時、一部の共和党上院議員を激怒させた。
スミス氏は、このような要求は通常のことで、2021年1月6日の前後にホワイトハウスが議員とどのように連絡を取り合っていたかを突き止めるために不可欠だったと述べた。
スミス氏は、捜査チームが提出された通話記録をもとに、トランプ氏の側近がどの共和党議員に連絡したか、そして議会襲撃当日にトランプ大統領がどの上院議員に接触しようとしたかを特定したと、司法委に話した。
スミス氏によると、提出された通話記録には通話やテキストの内容は含まれず、「通話がいつ始まり、いつ終わったか(中略)そして発信者が誰か」が記録されていたという。
元特別検察官は、この通話記録と事情聴取を通じて、2020年選挙結果の議会認証をホワイトハウスがどのように阻止しようとしたか、その経緯を捜査チームは把握できたのだと、下院司法委に説明した。
「ドナルド・トランプの発言内容は事実と異なると、本人に伝えた人たちがいたことを明らかにするため、私たちにとって通話記録や聴取内容が重要だったこともある」とも、スミス氏は委員会に話した。
スミス氏は2024年10月に、トランプ氏が議員に接触しようとしたとされる動きを概説した申立書をワシントンの連邦地裁へ提出した。これについてトランプ氏は当時、「死んだ魔女狩りを復活させようとする動き」で、2024年大統領選に「干渉しようとする動きに過ぎない」と主張していた。
(英語記事 Congress releases Jack Smith's testimony about Trump prosecutions)
