中小企業では、こうした計算ノウハウを熟知している人材がそれほど多くないだけに、戸惑う場面が多いようだ。
相談窓口になっているジェトロ調査部米州課・伊藤実佐子課長によると「米国向け輸出部品の中に中国製部品が組み込まれていると、日本で組み立てて輸出しても中国製と見なされ、高い関税を課せられることがあるので、構成部品・素材に応じて、どのようにして全体的な関税率を下げるか苦労している」と指摘する。
米国向け輸出額のうち、約3割を占める自動車と自動車部品は最大の輸出品目のため、これまでの関税率2.5%から4月に25%の追加関税を課せられてどのくらい打撃を受けるかが大きな焦点となっていた。その後、日米交渉の結果、9月16日に15%に引き下げられた。
米国向け自動車輸出は
持ち直しの動き
25年5月以降、米国向け自動車輸出額は大きく減少していたが、11月(速報値)には、前年同月比で1.5%上回るなど持ち直す動きも出てきている。自動車業界は現状、この苦境を何とかしのいでいる状況だが、自動車業界にとって米国市場は最大の稼ぎ場所だけに、先行きを心配する声は根強い。
一方、トランプ関税により景気の悪化につながるほどのダメージは受けていないようだ。東京商工リサーチによると、高関税が原因で倒産したという企業も今のところ見られない(25年12月末現在)。
昨年4月に政府でとりまとめた緊急対策パッケージの中で、資金繰りが厳しくなった中小・小規模事業者向けに、政府系金融機関を通じてセーフティネット貸付が受けられるように要件を緩和するなど支援策を打ち出した。
関税を含む事業を取り巻く環境の変化により、事業の転換をしようとする中堅・中小企業についてジェトロなどを通じて海外展開の支援をしている。具体的には高関税により米国向け輸出が厳しくなった企業に対して、東南アジアなど他地域への販路開拓に向けたアドバイスや展示会・商談会などのツールの提供を行っている。

