2026年2月10日(火)

世界を揺さぶるトランプ・パワー

2026年2月10日

価格転嫁は約5割
コスト削減には限界も

 関税率に苦しむ日本企業の対応策としては、一つには関税率が上がった分を価格に転嫁する方法だが、ジェトロのアンケートによると、転嫁できている割合は約5割程度で、3~4割は自社のコスト削減などによる企業努力でカバーしているという。

 自動車の場合も、関税率の上昇で製品価格をそのまま上げると、価格競争力が落ちて売り上げ減少になるため、実際の現場では価格を引き下げる動きが多かった。しかし、いつまでも下げていては利益が出ないため、ここにきて、一部企業ではやむを得ず値上げに踏み切るところも出ている。

 少しでも関税率を下げようと、これまで日本で調達していた部品を現地の米国で調達するというサプライチェーンそのものの変更の動きもある。しかし、「仮に新たな調達先に変えると、その部品を組み込んだ製品が大丈夫なのかどうか、新たな認定、お墨付きを得なければならず、時間がかかる場合がある」(伊藤課長)と話す。

 新たな販路の開拓は、様々な困難が伴うが、グローバル市場を相手にする企業にとって、リスクを最小限にするためには、サプライチェーンと新規顧客の開拓に不断の努力が求められている。輸出企業はトランプ関税を糧に、あらゆるリスクに備えることが生き残りの鍵だといえるだろう。

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Wedge 2026年2月号より
世界を揺さぶるトランプ・パワー
世界を揺さぶるトランプ・パワー

1月3日、トランプ大統領は自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」で、ベネズエラに対する攻撃を成功させ、マドゥロ大統領を拘束したと発信し、世界に衝撃を与えた。自らを「平和の使者」と称していたトランプ氏だが、戦火の口火を切った格好だ。トランプ氏にとっては、犯罪者を拘束するための法執行をしたにすぎないという認識なのだろうが、議会の承認を得ていないほか、国際法に違反しているという指摘もある。 独裁者を追放するという帰結と、そのプロセスは別に考えなければならない。そうでなければ、「力による現状変更を容認しない」という、戦後80年かけて世界が営々と築き上げてきた共通認識を崩したロシアを誰も批判できなくなる。 そもそも、トランプ氏は積み上げられてきた「ポリティカル・コレクトネス」を否定し、ルールを決めるのは自分だと言わんばかりの行動をとってきた。まさに「トランプ・パワー」である。 そんなトランプ氏を大統領に再度選んだ、現在の米国の政治経済、外交、そして思想などをつぶさに見ていくと、我々が知っているかつての米国から大きく変貌していることが分かる。 それでも米国が日本にとって重要な同盟国にあることに変わりはない。米国とどう向き合っていくのか。世界だけではなく、日本こそ問われている。


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