2026年6月13日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年6月3日

 例えば、02年のモスクワ劇場占拠事件や04年のベスラン学校占拠事件では、大量の人質の生命を犠牲にしてでも強硬策により制圧した。チェチェンに対しては空爆を含む圧倒的な火力投入で制圧し、09年には紛争の終了を宣言した。さらに最近では23年、武装反乱を起こしかけたワグネルのプリゴジンも、「航空機事故」で死亡させることで、軍に対するコントロールを取り戻した。

「核の脅し」や「ハイブリッド戦」を強化か

 ただ「一層強硬に出る」と言っても、露側も武器・弾薬、人員の不足という客観的諸条件が一定の制約として働くことは間違いなく、その場合、プーチンは戦場での劣勢を「核の脅し」や「ハイブリッド戦」をこれまで以上に強化することで補おうとするだろう。

 「核の脅し」については、ウクライナへの全面侵攻開始以来、ロシアは核攻撃を示唆する発言を繰り返し、24年には「先制核攻撃」を可能とするよう軍事ドクトリンを改訂、25年後半にはベラルーシに超極超音速核弾道ミサイルと称する「オレシニク」を配備したが、この流れをさらに推進するだろう。

 もうひとつは、ウクライナを支援する欧州諸国へのハイブリッド攻撃の強化だ。ウクライナはもちろん、ドイツなど欧州でのウクライナ向けドローン生産工場の妨害、選挙介入、海底ケーブルの切断、サイバー攻撃、放火等々、これまでも行ってきた破壊活動や情報戦・認知戦をさらに強化する可能性がある。

 今後、プーチンがどのくらい強硬姿勢を維持できるかの見通しは難しいが、西側諸国にとって重要なことは、制裁を含めロシアに対する圧力の手綱を緩めないことだ。ウクライナが多大な犠牲を払って築いてきたロシアに対する相対的な優位性をさらに拡大するために支援することが重要だ。

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