例えば同じ7月、中国版ツイッターと呼ばれる微博を入口に問題となったのは湖北省で起きたコメ問題であった。
事件が起きたのは6月27日。宜昌市の明珠埠頭で一隻の貨物船から大量のコメがこぼれ地面に散乱したのだが、それに群がった20羽前後のスズメがほとんどすべて死んでしまったのである。
微博では「当局がその原因を“食べ過ぎ”だとした」ということで話題となった。
結局、当局が再検査する事態となり、7月3日の新華社の記事によれば、地元・宜昌市政府が死亡したスズメを検査した結果、体内からカルポフランという農薬(殺虫剤)が検出されたことを公表。これを受けて産地の農地を封鎖しコメは市場から回収されたと食品薬品検験検測センターが発表し、やっと収まったのである。
上海福喜の問題がやっと収まったばかりの8月には、『中国経営報』がお茶に関する残留農薬問題で、現地に入った記者が農薬で殺虫剤のグリホサートイソプロピルアミン塩を使われていたことを暴露し、やはり大きな話題となった。
また同じ8月には、広東省の食品薬品管理監督局が、ミルク味のアメに大量のメラミンが含まれていたとして約25トンを押収したと発表している。
メラミンは2008年、粉ミルクに混入され5万人の乳幼児が腎臓結石などを引き起こすという大問題を引き起こして以来ずっと中国社会を悩まし続けている。
1カ月間の目立った問題だけを取り上げてもこれほどあるのに、この問題を上海福喜だけの傾向として分析することは適当ではないのは、改めて指摘するまでもないことだろう。
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