2026年9月2日(水)

プーチンのロシア

2026年9月2日

「現代ハイテク経済戦」で見つかった東京という拠点

 ニューヨーク・タイムズ紙は、GRU第20局が「アエロフロート」の事務所や職員の身分を利用して活動していたと報じた。現在、西側諸国がロシアの航空会社や航空産業に対して発動している制裁は、航空機の運航、部品の供給、リース、保険、メンテナンス、そして製造基盤に至るまで、産業の全機能を完全に遮断することを狙った包括的なものだ。

ロシア航空アエロフロートの航空機(Lichtwolke/gettyimages)

 ロシアのアエロフロートをはじめとする全ての航空会社、ロシア籍の機体、さらにはロシアの富豪(オリガルヒ)が所有・管理するプライベートジェットに対し、日本、米国、欧州は、その領空への進入・通過を全面的に禁止している。

 その一方、アエロフロートは、欧米路線が全滅したため、国際線の機材を、制裁に加わっていない友好国に集中させている。友好国とは、中国、タイ、インド、インドネシアといったアジア、アラブ首長国連邦(UAE)、トルコ、エジプト、イランなどの中東、ベラルーシ、アルメニア、アゼルバイジャン、カザフスタン、ウズベキスタンといった旧ソ連構成国だ。

 アエロフロートの国際線が就航しているロシアに制裁を科していない国や都市は、約20カ国・40都市以上とされる。これらの国・都市との国際線の就航を、西側諸国は禁止している訳ではない。幾つものダミー会社を介在させ複数の第三国を経由することで、その物流経路は複雑化し、複数の第三国を経由する手法は、メーカーの出荷時点や税関の現場を攪乱させるには非常に有効である。

 しかしながら、ウクライナ当局による兵器の現場検証(シリアル追跡)と、西側当局による金融・データ監視の組み合わせにより、最終的にはどこが抜け穴になっていたか分析・特定されることになるのが、「現代のハイテク経済戦の実態」だ。ニューヨーク・タイムズ紙が報じたGRU第20局の摘発も、まさにこの「逆探知」によって東京の拠点が特定された結果と推定される。

 今年7月、欧州連合(EU)は実に21回目となる対ロシア制裁パッケージを承認しており、この対象にはEUが制裁対象としている機材や取引をロシアと継続する第三国の銀行・企業が含まれる。米国もSDN(Specially Designated Nationals and Blocked Persons)にリストした制裁対象者・企業と重要な取引を行う第三国の個人・企業も制裁対象とする。

 こうした欧米による二次制裁(Secondary Sanction)は、ロシアの第三国取引を封じようとする措置だ。他方で、ロシアによるサプライチェーンの隙間(抜け穴)を突いたグローバルな制裁を回避するネットワークは高い適応力を示しており、西側諸国による制裁強化とロシア側の回避策との間では絶え間ない応酬が続いている。


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