2026年8月4日(火)

台湾「麗しの島」の実像

2026年8月4日

 世界を牽引する半導体企業を輩出する台湾。台湾のテック産業はなぜここまで成功したのか。その秘訣を探るため、新竹サイエンスパーク内にある国立精華大学半導体研究学院の副院長と同研究学院のインド人留学生、国立陽明交通大学産業共創部の副学長、そしてパークを運営する管理局に、それぞれインタビューした。

(Mahir Asadli/gettyimages)

国立清華大学半導体研究学院  賴志煌 副院長(Chih-Huang Lai)

米スタンフォード大学への留学とシリコンバレーでの勤務経験がある賴氏は、台湾も成功できると信じていた(WEDGE以下同)
❝テクノロジーだけでなく、リーダーシップのトレーニングも必要だ ❞

 半導体研究学院は政府の要請を受けて、台湾のトップ4の国立大学である陽明交通大学、台湾大学、成功大学、そして清華大学に設置されました。

 当院は大学の学部の一つではありますが、システム的に他とは全く異なります。運営資金は政府と産業界が1対1の割合で負担しており、政府からの資金は教育部(日本の文部科学省)ではなく国家発展委員会という部門から拠出されています。国は「半導体産業が国家の発展に直結する」と考えているため、教育の枠組みに留めていないのです。教員の給与も業界並みに引き上げ、一部の高度な役職では定年を撤廃したことも大きな特徴です。これにより、産業界の第一線で活躍していたシニア人材の再雇用が活発になりました。

 我々のミッションは、「半導体産業のリーダーを育成すること」。「優秀なエンジニアを育てること」とは意味が大きく異なります。そのため全学年必修のカリキュラムとして「リーダーシップ・クラス」を設け、産業界の経営者を招いた授業を行っています。テクノロジーだけでなく、こうしたトレーニングも必要なのです。

 「なぜ台湾は半導体産業でこれほど成功できたのか」と、よく聞かれる質問にお答えします。最も重要なのは「優秀な人材の確保と育成」ですが、もう一つは「確固たるエコシステムの構築」です。幸運なことに小さな島だからこそできた側面があります。

 しかし、ヒントはあると思います。日本の博士課程進学者は、大学のアカデミックポジションを目指すケースが多いですが、私のグループで博士課程を修了した45人のうち、大学に残ったのはわずか2人でした。台湾では授業料が非常に低く抑えられており、学生は比較的充実した手当を受け取れる仕組みになっています。これを実現できている背景には、産業界による強力な支援があります。日本においても産業界との連携を強化することが、エコシステム構築のための一つのヒントになるかもしれません。


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