2026年9月29日(火)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年9月29日

 今状況が危険なのは、プーチンがウクライナの主たる兵器供給者になった欧州諸国を攻撃することで優位を得ることを試みていることである。4月、ロシア国防省は無人機とその部品をキーウのために作っている欧州の21の会社の名前と住所を公表し、それが「潜在的目標」であると警告した。これらの欧州の武器供給社にロシアの攻撃が行われた。

 8月、エストニアのミレム・ロボチック(無人機の供給者)に、ブルガリアのEMCO(155mmの大砲砲弾供給者)に、イタリアのKNDS弾薬に破壊活動が行われた。これらの攻撃の多くはロシアのものであることを隠すための地元のギャングによるものであった。

 ドイツはライプツィヒ空港でのウクライナの貨物便へのドローン攻撃等についてロシアを告発した。ドイツ外相は、ライプツィヒ空港攻撃がロシアの攻撃の「長い鎖」の一部であるとし、内相は「我々は毎日ハイブリッド戦争の被害者だ」と述べた。ドイツはロシアに外交上の措置を取り、ロシアの石油を秘密裏に輸出する「影の船団」への監視を強めると警告した。

 ロシアの破壊活動や放火に1年以上直面してきた英国は、より強い反応をとっている。バーナム首相はキーウを訪問し、英国はフランスとともにウクライナが先進的な巡航ミサイルを作れるように支援すると述べた。

 欧州とロシアがエスカレーションの梯子を上る中、米国は再び超大国と大西洋同盟の指導者として行動すべきである。トランプ政権がプーチンを抑止し、米国の欧州同盟諸国を安心させるために取りうる措置は幾つかある。

 第一に、米国は欧州の同盟国と共に、ロシアによるNATO諸国へ引き続く攻撃は深刻な結果をもたらすと警告する共同声明を出すべきである。もしプーチンがウクライナの都市への攻撃を続けるならば、米欧は均衡のとれた攻撃をウクライナがロシアに行いうるように静かに支援すべきである。

 NATO同盟を強化するために、米国防省は直ちに欧州駐留米軍の再点検をやめるべきである。今は部隊撤退を論議する時ではない。

 最後に、トランプはウクライナと欧州を強化するに従い、彼はその梃子を使い、このひどい戦争の終結を停戦と和平の達成で作り上げるべきである。現状を放置することは、単にプーチンを抑止できないのみならず、見捨てられたと感じ、益々絶望的になっている欧州の同盟国を制止することができなくなることを意味する。

 米国の軍事的優位さは戦争をするだけではなく、戦争を止めるためにもある。

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すでにNATO第5条発動を考える事態

 このイグネイシャスによる論説の趣旨には賛成である。

 ロシアがNATO諸国へのハイブリッド戦争に乗り出していることは明らかである。これは、ロシアとNATOとの関係において、踏み越えてはならない一線を超えたものと評価すべきであろう。NATO第5条の発動を考慮すべき事態であると考えられる。


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