2024年4月19日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年10月2日

 それゆえ、米国はアジアにおける不可欠な安定化勢力であり続ける。アジアの新しい国際環境が中国の影響力増大を反映しているとしても、米軍は、中国が国際的規範に超えることへのヘッジとなっている。

 米太平洋軍のアジアにおけるプレゼンスは、国際法に基づく利益共同体を、この地域に形成し得る。これは、中国さえ無視できないものである。それには、米国の継続的な関与が必要である。米国は、より多くの軍事的投資を地域に注ぐべきである。そうしなければ、米国はますます脇に追いやられ、アジアはより不安定になる、と述べています。

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 中東や東欧と比較し、アジアにおける米軍のプレゼンスがアジアを安定させていることは間違いないので、この地域での米軍のプレゼンスを維持・強化すべきである、という論説です。情勢の認識面でも政策提言面でも、常識的で適切な内容です。

 これからは、中国の台頭を含むアジア情勢が、世界情勢全体にとって最重要課題です。ISISへの対応などの中東問題や、ウクライナ問題は、緊急課題ではありますが、アジア情勢は、大局的で長期的な課題です。前者に捉われ、後者をおろそかにしないことが肝要です。アジアへの軸足移動を資源配分増などによって、可能な限り適切に実施することが望まれます。

 そうした大前提の下で、望まない不測の衝突を回避するために、衝突防止の規則や、EEZ内での他国の偵察など軍事活動について、米中間や関係国間で協議するといった努力はすべきでしょう。現に、今般の異常接近については、8月26、27日に開催された米中国防当局による、航空機や艦船の行動規範についての作業部会で取り上げられています。

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