うつ病蔓延時代への処方箋

2014年10月9日

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 ―― プロジェクトでは、なぜメンタルヘルスに着目されたのですか。

亀田:大学を卒業し11年間を企業の産業医として勤めました。90年代前半はアルコール依存症、統合失調症が大半で、稀に適応障害の人を診たぐらいです。ところが2000年代に入るとうつ病の診断書を持ってくる社員が出てきました。その後、仕事のボリュームはメンタルにシフトせざるを得なくなったということがあります。海外のメンタル事情を調査する機会もあり、大学に戻ってからも研究を続けました。世の中でメンタル不調者が増えてきた現象を現場で肌で感じてきたことが大きな要因です。

 ―― 企業として今後の方針は。

亀田:小さいながらも採算ベースに乗っています。利益追求ではないですが、会社を成長させていく考えはあります。今後は、社労士の人たちに当社が行っているメンタルサービスの仕組みを伝えていく方針です。産業医でなくても会社の労働実態を把握してメンタル改善を提言することはできますから。社労士の力を借りることで中小企業の隅々まで健全な職場環境を構築していくことができるのではないか。結果的に日本の職場うつを減少させることが可能になると期待しています。

うつ病診断の範囲拡大が患者増の要因に

 ―― 職場うつが増えていく状況を産業医としてみてこられたわけですが、うつ病が増えてきた要因をどのようにみていますか。

亀田:最初に言いたいのは、職場でのメンタルの問題はまだ医学的に未解明であるということです。それを専門家は知っているが、一般の人は普通の病気だと思っている。このギャップに問題があります。もうひとつ通常の病気とは問題の質が違うこと。職場うつが増えていくことは社会的な問題を引き起こしてしまう。この2点を認識してほしい。

 職場うつが蔓延している状況をみると、高ストレス状態や落ち込んだ状態が続くとうつという診断がされています。拡大解釈されているとは言いませんが、うつの範疇が大きくなったことが増加のひとつの原因だと思います。20年前だとメンタルを職場で語ることはタブーでしたが、一般的に周知されるようになり、精神病院へ行かなくても駅前クリニックで手軽に受診できることもあります。

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