2024年12月11日(水)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年10月14日

 9月5日付の米Diplomat誌で、Thuc D. Phamベトナム外交アカデミー研究員は、南シナ海紛争をどうするかについて、米中間に見解の相違はあるが、まだ行動規範策定につながる可能性はある、と論じています。

 すなわち、中国は、ベトナムのEEZ(排他的経済水域)から石油掘削装置を引き上げるなど、戦術的に緊張緩和したが、8月10日のARF(アセアン地域フォーラム)で、ケリー国務長官は凍結を、王毅外相は2重アプローチを主張し、両者の発言は 全く異なっていた。

 ケリー長官は「現状を変えるための挑発があった。緊張が高まり、関係の悪化があった。中国の掘削行為には疑問を持つ」として、行動凍結を提案した。王毅外相は「南シナ海は一般的に安定し、航行の自由に問題はない、域外国は正統な関心をもちうるが、名指し非難するのに反対である」と述べた。

 両国は提案も出した。

 行動凍結とは、占拠していないところに新しい構造物を作らないこと、他国が占拠しているところを取ろうとしないこと等である。ケリー長官は、中国が桟橋、人工島、燈台等を作っていることを念頭に置いていた。

 これに対し、中国は当初、南シナ海で何を作ろうが自由であると言ったが、21世紀にふさわしい2重アプローチと言うことで、中国と関係国の直接の話し合いによる問題解決と、中国は平和と安定の維持を約束することを述べた。

 中国は米国のアジアへのリバランスに対抗している。習近平は「アジアにおける相互行動と信頼醸成会議(CICA)」で、アジアのことはアジアがやると主張した。

 南シナ海問題についての米中の関与は、幾つか重要な点を示す。


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