2024年4月20日(土)

Wedge REPORT

2014年10月21日

 よく、「女房が俺と一緒の墓に入りたくないと言う。理解できない」と言う男がいるけど、女からしたら、なんで? と不思議。両家の結婚式から始まり、女は名残の家制度の中で、ずっと生きてきた。核家族になっても家の行事や介護は嫁の役割。死んだ後までも、自分のルーツがない、見ず知らずの人がたくさんいる夫の家の「先祖代々の墓」に入って気をつかうのが、当たり前とはなかなか思えない。

 逆に男に聞きたい。自分が女房の実家の先祖代々の墓に入れって言われたらどうですか? そういう想像力を持てることがやさしさなんだけどね。

 団塊の世代は、数が多いからこそ常に多くの問題に見舞われてきた。小さい頃は幼稚園が足りず、受験や就職では「狭き門」と言われた。墓が足りないなんて「またか」という話。そこに少子化がセットになってきたから大変。

 私たち団塊の世代は、親を看取った最後の世代で、子供に看取られない最初の世代になるんだと思う。それなのに、財産を子供に残すという旧世代の価値観に縛られていたら、とんでもないことになるんじゃないだろうか。自分の財産を処分すれば、自分の最期は自分で決めることができる。処分できる財産がない人に、社会保障の恩恵が厚く回るようにもなる。

 本当は、人生の終わり方は女が女同士で考えるのではなく、想像力のない男であっても、理解不能と対立しないで、一緒に考えたいテーマ。考えなければいけないテーマなんだと思う。

*男の視点から:
60代では手遅れ 妻のサインを見逃してきた夫の「無関心」の蓄積
(三木哲男「婦人公論」前編集長)

  
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◆Wedge2014年11月号

 


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