2024年7月15日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年11月7日

 論説は、モディは経済開発の中国モデルを称賛していると言い、確かに、インフラの整備では政府の役割が大きく、それは、中国モデルと言っても良いのかもしれません。しかし、日本も、戦後、政府主導でインフラの整備を図っており、中国モデルというより、むしろ「アジアモデル」と言うべきかもしれません。

 製造業では、中国は積極的に外資を導入して発展していて、特に中国モデルと呼べるようなものはありません。インドも積極的に外資の導入を図ろうとしていますが、複雑な規制と煩雑な手続きのため、外国企業が二の足を踏んでいるようです。インドが製造業の発展を図るためには、中国から学ぶのではなく、外資受け入れの国内体制を整備することが肝要でしょう。

 安全保障面での中印の協力は、国境紛争で制約を受けています。習近平は最近の訪印で、領土紛争の解決を求めると約束したとされていますが、最近の紛争は習近平の訪印直前に起きていて、論説は、中国軍に対する中央政府の抑えが効いていない可能性を示唆しています。国境紛争が、習近平の発言通りに、近いうちに解決に向かうとは考えられません。

 他方、インドは、核兵器国として中国とライバル関係にあり、また、中国はインドの宿敵パキスタンを支援しており、安全保障上、中国のパートナーになる立場にはありません。むしろ、中国の高圧的な海洋進出には脅威を感じているでしょう。しかし、そうだからといってインドが、あからさまな形での中国包囲網の形成に参加することも考えられません。

 論説が言う、中印両国は、途上国の必要と目的により適うよう国際制度と規範を変えるという目的を共有している、という点については、確かに、中印両国はBRICSのメンバーであり、有力新興国としての立場は共有しています。しかし、国際システムと規範の変更に関しては、インドが目指していることの一つは、国連安保理常任理事国入りであり、この点ではインドは中国と利害を異にし、むしろ、インドは日本と利害が一致しています。

 このように、中印関係には数多くの側面があり、包括的な特徴づけをすることは困難です。ただ、中印の協力関係が、経済分野においては推進しやすいが、安全保障分野において困難であるということは、日本にとってプラスになることは間違いありません。

*関連記事:インド・モディ首相の精力的なアジア外交

  
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