中国メディアは何を報じているか

2014年12月5日

»著者プロフィール
著者
閉じる

弓野正宏 (ゆみの・まさひろ)

早稲田大学現代中国研究所招聘研究員

1972年生まれ。北京大学大学院修士課程修了、中国社会科学院アメリカ研究所博士課程中退、早稲田大学大学院博士後期課程単位取得退学。早稲田大学現代中国研究所助手、同客員講師を経て同招聘研究員。専門は現代中国政治。中国の国防体制を中心とした論文あり。

 持続可能な形の産業育成を目指すよりも、土地使用権譲渡というようなマネーゲームに走ってしまった事が中国の高度成長における悲劇であり、今日、そして将来にわたり深刻な禍根を残すことになってしまった。投資による短期のリターンを狙ったマンション群はこうした土地の上に建てられたものだ。

 マンションが建築されて売却されればまだましであるが、少なからぬ規模のマンション群が建設半ばで放置され、ゴーストタウン化したのも地方政府による無計画な土地使用権譲渡があったためだろう。おまけにこのプロセスでは政府の財政収入にさえならならず、汚職官僚個人の懐に入った金額も小さくなさそうだ。都市開発の掛け声空しく、ゴーストタウンが増え続け、建設後のマンションでさえも質が保証されているとは限らない。庶民のマイホームの夢が儚く粉砕されたケースは後を絶たない。

 土地使用権譲渡を通じた地方政府の「打ち出の小槌」による財政収入確保というスキームは根本的に破綻をきたしている。「虎退治、ハエ叩き」と汚職官僚の摘発を進めているが、土地が莫大な富を生み出し、その利権にあらゆる人や部門がたかる仕組みが存在する以上、汚職の一掃は極めて難しい。しかし、価格が上がり続ける土地「神話」は既に崩壊し、夢から覚める時を迎えている。「中国の夢」と浮かれず、土地ころがしのマネーゲームによる資金調達を目指すことは改め、堅実に都市開発、産業育成に勤しんで欲しいものだ。

  
▲「WEDGE Infinity」の新着記事などをお届けしています。

関連記事

新着記事

»もっと見る