一方でサイボウズが作成した動画は、「働くママの現状を描くこと」に主軸を置いている。夫の育児参加への意識の低さを嘆く声もあったが、動画では子どもが熱を出した際に夫も会社での仕事を抜けられず、夫婦共に「他に方法のない世の中で働き育てている」とも言える。
先ほど挙げたtwitterの意見では「動画を見たが解決策が明示されていない」という意見もあったが、サイボウズの自社メディアでは問題解決の一案として「子連れ出勤」や「クラウドワーク」などの働き方、「育休2年半」などの制度を紹介している。
子連れ出勤しています!──「小1の壁」に直面した社員発、新しいワークスタイルの試み
http://cybozushiki.cybozu.co.jp/articles/m000331.html
自由な働き方でうまくいくのか? ──ランサーズとサイボウズに敏腕プロデューサーが切り込んだ(1)
http://cybozushiki.cybozu.co.jp/?p=15823
「育休2年半」からの復帰はどんな感じ?──時短勤務で高まるスキル、感じるギャップ-
http://cybozushiki.cybozu.co.jp/?p=10059
「家事ハラ」動画のゴールが商品販売だったとしたら、「大丈夫」動画のゴールは「社会への気付きを与えること」だったのではないだろうか。動画を見た人が「働くママが抱える現状」に気づき「子どもを育てながら働ける社会にするために何を変えるべきか」を考えるきっかけになったのなら、この動画は成功だったと言えるだろう。
この2つの動画、違いは「そこにある問題を直視したか」と「訴える目的」にあったように思う。「家事ハラ」はバズる動画にはなったが、社会を動かすどころかむしろ逆効果になった。社会を動かす動画を作るためにはこの2つをよく考える必要がありそうだ。
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