米ワシントン・ポスト紙のコラムニスであるファリード・ザカリアが、11月13日付の同紙に「中国の増大する力」と題する論説を寄せ、中国は既存の国際秩序に挑戦しており、アジアでの冷戦にもなりかねない、と論じています。
すなわち、ロシアはその部隊をウクライナに送り、西側に正面から挑戦しているが、長期的には中国がより大きな脅威である。ロシアは、世界のGDPの3.4%しかない衰退する大国である。一方、中国のGDPは16%で、世銀によると、日本の約4倍、ドイツの5倍にあたる。
オバマ大統領と習近平主席が気候変動について歴史的合意をしたのは良いが、中国政府は、米国が作った1945年以来の戦後国際秩序を、中国の秩序で置き換えようとしている。もし中国がこの道を継続すれば、この四半世紀で最も重要で危険な国際政治のシフトになろう。
もちろん、胡錦涛時代にも、米国に替わり、中国が世界を主導するように求める本、例えば『中国の夢:ポスト米国時代における大国思考と戦略姿勢』などがあった。しかし、習近平の民族主義的言説は増えている。クリスチャン・サイエンス・モニター紙の統計では、人民日報の反西側論は2014年に前年比3倍に増えたという。中国は、アジアその他の地域で、既存国際秩序の代替を提案している。
この夏、中国は、IMFに対抗する国際金融機関、BRICS銀行を作ることで関係諸国と合意した。10月、中国は、世銀に対抗する500億ドルのアジア・インフラ投資銀行を立ち上げた。また、習近平は、「シルクロード」復活を推進すると述べた。
中国が公共財を提供するのはよい。しかし、中国は、既存の秩序を強化、改革するよりも、それに取って代わる中国中心の秩序を望んでいるように見える。習近平が、アジア相互信頼醸成会議で「アジア人がアジアの安全保障を確保すべきである」と述べたように、中国の構想では、米国が除かれている。
キッシンジャーは、最近の著書『世界秩序』で、中国は平等な国家からなる世界システムになじめず、自国を世界のトップ、唯一の主権国家と考え、外交は交渉よりも世界階層秩序での各国の位置付けを決めるものと考えている、と述べた。