2024年4月18日(木)

世界の記述

2014年12月30日

 開発を巡る国連安保理常任理事国(米英仏露中)にドイツを加えた6カ国(P6)とイランとの交渉は、期限であった11月24日、合意に達することが出来ず再延長を決め終了した。

核交渉に参加した7カ国の外相(AP/AFLO)

 協議終了後、P6の代表を務めた欧州連合(EU)のアシュトン前外交安全保障上級代表とイランのザリフ外相の発表した共同声明は、(1)交渉期限を2015年6月30日まで再延長する、(2)今後の交渉では短縮化を目指し最長4カ月以内での終了を目標とする、(3)その後の残る期間を技術的な作業に充てる、ことなどを明らかにした。

 興味深いのは、交渉後ロウハニ・イラン大統領が国内テレビで延長を前向きに評価する一方、行方を注視していたネタニヤフ・イスラエル首相も安堵する論評を行ったことだ。ロウハニ大統領の発言は核交渉を巡り、国内で高まる保守強硬派の批判を強く意識した上での擁護発言と読めるし、ネタニヤフ首相の言葉はイスラエルに好ましくない合意を回避できたことへの素直な喜びと受け取れる。

 外交成果を挙げたいオバマ米政権が今回の交渉で何とか「部分合意」や「枠組み合意」だけでも得ようと必死であったことは、ケリー国務長官が1週間で8回もザリフ・イラン外相と会談した点からも明らかである。消息筋によれば、今回の交渉で主にぎりぎりの譲歩を行ったのは米国及びP6側であったという。意外にも、油価急落もあり経済的に追い詰められていると思えるイランは次回以降の交渉に備えてのためか要求内容をほとんど変えなかったようだ。

 気になる今後の交渉だが客観情勢は厳しさを増している。元々、共に反対論も少なくなかったイランと米国の国内で安易な妥協に批判的な保守派が勢いを増しているからだ。


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