2022年9月28日(水)

安保激変

2015年1月8日

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小谷哲男 (こたに・てつお)

明海大学外国語学部教授

日本国際問題研究所主任研究員を兼任。専門は日本の外交・安全保障、日米同盟、インド太平洋の国際関係。主な共著に『アジアの国際関係―移行期の地域秩序』(春風社)など。
 

 具体的には、平時からグレーゾーン、そして有事まで切れ目なく同盟間の調整を可能にする調整メカニズムを構築し、周辺事態の概念を廃して地理的概念にとらわれずに自衛隊と米軍が一体となってグローバルに協力することになるであろう。

 一方、米国の一部にはガイドラインの改定によって日中の対立に巻き込まれる恐れが高まる懸念があることも事実である。このため、安保法制の整備を着実に実施して、日本がより主体的な役割を目指していることを示し、実効的なガイドラインの改定につなげる必要がある。

 ガイドラインの改定は日米同盟の目的を明確にし、両国内だけでなく、中国や北朝鮮を含む国際社会に対して同盟の透明性を高める作業でもある。これによって日米同盟の緊密さを周辺諸国に示すことが抑止力を高めることにもつながる。だが、ガイドラインの改定は周辺国との対決を煽るものであってはならない。米国はすでに中国との間で防衛政策の変更について事前に通報をすることを合意している。

 中国との信頼醸成の観点から、日本も安保法制やガイドラインの改定について事前に中国に説明をし、無用な摩擦を減らすことによって、長期的な地域の安定につなげるべきである。

 今回の安保法制の整備は、現行憲法において日本政府が取り得る対応を最大限まで認めるものとなるであろう。逆にいえば、今回の法整備以上の対応は憲法改正が必要となる。

 現行憲法下でのガイドライン改定もおそらくこれが最後であろう。日本の安保法制はできることを列挙する「ポジティブリスト」であるが、あらゆる事態に柔軟に対応するためには禁止事項を並べる「ネガティブリスト」が本来望ましい。憲法改正の暁には、安保法制をネガティブリストに変え、その上で再度ガイドラインを改定することを期待したい。

  
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◆Wedge2015年1月号より

 

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