豪戦略政策研究所(ASPI)シニア・アナリストのベンジャミン・シュリアが、10月23日付National Interest誌ウェブサイトに、日米ガイドライン改定の中間報告についての論評を掲載し、日米同盟が急速にグローバルあるいは地域的なものとなる可能性について、懐疑的な見方を示しています。
すなわち、日米ガイドライン改定は1997年以来のことであるが、今回は、アジア太平洋のパワー・シフトという文脈の中で行われている。長年日本がより積極的な防衛政策をとることを支持してきた豪州を含め、地域の国々は、米日同盟が、実施・コンセプトの両面でどれほど変わるか、注視している。
中間報告は、米日同盟が、中国、北朝鮮などからの大規模侵攻撃に対する日本の領域防衛を越えるものとなることを示唆し、将来の米日防衛協力は、
・切れ目のない、強固で、柔軟で、効果的な、米日による対応
・米日同盟のグローバルな性質
・地域の他のパートナーとの協力
に焦点が当てられることを強調している。
「地域と世界の平和と安全に関する協力強化」については、報告書は「協力分野は、明記された、平和維持活動・国際人道支援・災害救援・海洋安全保障・後方支援・非戦闘員の退避などに限定されるものではない」と指摘している。
「よりグローバルな米日同盟」の可能性については、日本は、アジア太平洋における防衛により関与するようになっている。比・越に沿岸警備艇を供与することで合意し、インドとは日本の水陸両用機を売却する交渉をしている。豪とも潜水艦をめぐる交渉がある。
しかし、米日同盟を、真にグローバルな、あるいは地域的なものにすることには、重大な障害がある。まず、自衛のための武力行使に対する新しい3要件は、自衛隊の集団的自衛権行使に厳しい制約を課している。日本が地域的あるいはグローバルな緊急事態で米国をサポートしようと決めても、戦闘地域外での後方支援や掃海活動に厳しく限定されることになろう。
日本の防衛政策は、専守防衛であり続ける。日本の海軍力近代化は、シーレーン防衛、潜水艦戦、島嶼防衛に特化したものとなろう。さらに、日本における安全保障改革は、厄介なプロセスであり、紛争状態にある米国に対して自衛隊が何をなし得、何をなし得ないかについての立法は近いうちには実現しないかもしれない。そして、中間報告が同盟の世界的な役割を強調する一方、中国への言及をしないことに、日本側は明らかに失望している。