明治時代、文明開化が進む日本で、「光線画」と呼ばれる木版画で一世を風靡した、小林清親(きよちか)。今年没後100年を迎えるのを機に、静岡市美術館で清親の画業を振り返る展覧会が開催される。
西洋画の遠近法や明暗法などを取り入れた清親の風景版画は、明治9年(1876)に発表されると、新しい時代の浮世絵として人気を博した。展示では、洋風の建物や人力車など文明開化のシンボル的な事物を描写した「東京銀座街日報社」や、都会の夜をガス灯の光で演出した「日本橋夜」など、光線画の名作がずらりと並び、古き良き時代の息吹を感じることができる。動物を写実的に描いた「猫と提灯」なども、当時の木版技術の高さを象徴する作品だ。
また、明治10年代半ばになると、「壱人六面相」など、ユーモアあふれる戯画や、風刺画から戦争画まで多様な作品を発表。抒情あふれる光線画にとどまらない、清親の遊び心や反骨精神を垣間見るのも一興だろう。
50歳を過ぎてからの清親は、東北や北陸、信州など日本各地に滞在して、水彩スケッチや肉筆画を描いた。展覧会では、これまであまり取り上げられてこなかった清親の晩年にもスポットを当て、戦後初公開作品を含む肉筆画も多数紹介。「最後の浮世絵師」清親の全体像に迫る。
没後100年 小林清親展
<期間>2月7日~3月22日 *会期中、展示替えあり
<会場>静岡市葵区・静岡市美術館(東海道新幹線静岡駅下車)
<問>☎054(273)1515
http://www.shizubi.jp/exhibition/future_150207.php
*情報は2014年12月現在のものです。料金・時間・休館日などの詳細は、お出かけの際、現地にお確かめください
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