情報はニュースサイトでも伝えられていた。
http://breaking-news.jp/2015/01/09/015972
この記事も大量に拡散されたが、タイトルにある「世田谷区危機管理センター」という部署は実在しない。正確には「危機管理室 危機管理担当課」がこの事件についての広報を記事掲載後に発信している。些細な相違かもしれないが、実在しない部署名を検索したことにより情報の出所を疑った人もいたと推測される。
区の公式サイトで正式に情報が出されたのは18時。以降、区からのメーリングリスト登録者へも関連情報が続々と配信された。筆者自身は、公式サイトと妻から転送された「子ども子育て情報のお知らせ」メールによってこの殺害予告が事実であることを確認したが、「区役所へ電話で問い合わせた」とツイートしている人もいた。区が公に情報を発信していない段階からネットで拡散されていたために、それが事実であるのか確認できなかったのだ。それでも善意の拡散が広がり、結果的に混乱を招いていた。区内に在住し子を持つ親であれば、この情報は軽く受け流せるようなものではなかっただろう。
なぜ公表前に拡散?
区のずさんな対応が明らかに
殺害予告当日の一連の混乱について、世田谷区議会議員の風間ゆたか氏がその原因を詳細に調べ、「お粗末な子ども殺害メールの対応」として自身のサイト内で公表している。事実関係が明確な資料として紹介したい。
http://kazamayutaka.com/2015/01/09/3960/
風間氏は区の対応について、3つの問題点を指摘する。
(1)メール受信から区民への情報提供まで6時間もかかっていること
(2)公表前にネットで情報が拡散されるという情報管理の甘さ
(3)実際に受信した内容(件名や本文)を公開しておらず、隣接する大田区が発信した情報の方がより正確だった(実は大田区の方が先に情報提供を始めていた)。
区の危機管理室の対応としては、警察との協議の上で、即座に情報を出すことを控えたという。その背景は明らかにされていないが、無用な混乱を避ける意図があったのかもしれない。そうだとしても、非常に危険かつ切迫した内容の脅迫メールが送られているにもかかわらず、公表が6時間後というのは遅すぎる。またそんな状況にもかかわらず、なぜか当の危機管理室から区内の私立小学校関係者にのみ情報が流れていた(公立小学校は教育委員会の管轄のため情報が流れなかった)。そのため、世田谷区内の私立小学校に子どもを通わせている「大田区在住」の保護者の知るところとなり、知らせを受けた大田区がいち早く注意喚起情報を出した。