2024年12月4日(水)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2015年2月3日

 簡単に言えば、鉄道貨物運送量がマイナス成長に転じている2014年、経済全体の成長率が依然として7%台を維持しているとはとても思えない。政府が発表した去年の7.4%の成長率はかなりの水増し部分があることは明らかである。

 要するに、2014年の中国経済はほんの少ししか成長していないか、あるいはまったく成長していないかのどちらかであろう。それこそが、今の中国経済の厳しい現状である。

中国経済の行方を大きく左右する不動産市場

 だとすれば、2015年の中国経済は一体どうなるのかは、火を見るよりも明らかであろう。今年の中国経済は昨年よりさらに落ちていくことはあっても、上がる要素はなさそうである。

 まずは中国経済の行方を大きく左右する不動産市場の動向から見てみよう。今年1月、中国指数研究院は昨年12月に全国百都市の不動産平均価格が前月よりまたもや下がったと発表した。しかもそれは、昨年5月から連続8カ月の下落となっていることから、私が以前から予測している不動産バブルの崩壊は確実に進んでいるように見える。

 実は昨年夏あたりから、中央政府と地方政府は「救市(不動産市場を救うこと)」と称して、久しぶりに利下げを断行したり不動産購買への規制をことごとく撤廃したりして必死に努力してみせたが、不動産市場の低迷と価格の下落を食い止めることはついに出来なかった。「政府はいつでも不動産価格をコントロールできるからバブルの崩壊はない」という中国式の神話は今や崩れつつある。

 問題は、今年どうなるかであるが、昨年末に発表された中国社会科学院の「住宅白書」は、2014年の住宅市場に関して「投資ブームの退潮、市場の萎縮、在庫の増加」などの問題点を指摘した上で、「2015年の住宅市場は全体的に衰退するだろう」との予測を行った。

 そして同じく昨年末の12月29日、中国国務院発展研究センターの李偉主任が人民日報に寄稿して、2015年の経済情勢について「長年蓄積してきた不動産バブルは需要の萎縮によって崩壊するかも知れない」と語った。国家直属のシンクタンクの責任者が「不動産バブル崩壊」の可能性を公然と認めたのは初めてのことだが、前述の社会科学院白書と照らし合わせてみると、どうやら中国経済をよく知る人たちの間では、不動産バブルはそろそろ崩壊してしまう、という共通した認識が既に定着しているようである。


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