米戦略国際問題研究所(CSIS)のヒーバート上席研究員らが、米国とベトナムは国交正常化20周年となる機会をとらえて安全保障協力を更に強化すべきであり、海軍間の協力がその要となる、と1月8日付の同研究所ウェブサイトに上の論説で述べています。
すなわち、2014年には、米越間で多くの防衛協力がなされた。米国からは、軍高官や議会指導者がベトナムを訪問し、10月にはオバマ大統領が致死性兵器の対越輸出を部分的に緩和することを発表した。両国の防衛協力を進めることがアジア・リバランス政策や東南アジアにおける米国の態勢にとって重要である。
米越間の海軍協力は、その他の東南アジア諸国との協力に比べるとまだ発展段階であり、演習を通じた信頼醸成に留まっている。 ベトナムは、歴史的に多くの大国と付き合ってきた経験から、主権と独立の維持につき敏感なところがある。しかし、米越国交正常化から20年の節目であり、南シナ海では安全保障上の懸念があるので、米越の海軍協力を進めることは、歓迎されるはずである。
米国は、ベトナムへの寄港頻度を増やすことに関心があり、海軍関係を拡大したいと考えている。2014年4月には、両国はダナン沖で捜索・救難に関する演習を初めて実施した。
しかし、米海軍艦船のベトナムへの寄港は、1つの港につき年間3隻までと限定されており、戦略的深水港であるカムラン湾については、米海軍艦船は非戦闘艦を除き入港が認められていない。この規制を緩和することは、米越協力のためには極めて重要である。
ベトナム指導部は、より多くの米艦船の寄港を許可することが、中国を不必要に刺激することを懸念している。しかし、昨年、中国はベトナムの大陸棚に石油掘削装置を移動させ、越船舶に対し脅迫戦術を仕掛け、地域での野心を追求している。
南シナ海の東部において、米国の積極的なプレゼンスは、ベトナムのみならず、米国や地域の安定にとっても利益となる。また、ベトナムに対する致死性兵器の輸出緩和は、同国の軍事近代化や海洋における状況認識能力の向上にも貢献する。更には、米艦船が補給のための寄港機会を増やすことはベトナムの海洋における安全手順の改善にも資する。