2024年4月27日(土)

Wedge REPORT

2015年2月19日

 それに加えて、大企業はグローバルに展開できるので、世界中から人材を集められる。しかし「中小企業にとっては人材の面でかなりハンデがある」(みずほ銀行加藤修直投支援部長)と『人材不足』が大きな課題になっている。

 「まず現地社員をマネジメントできる日本人がいない。現場を仕切るにはどうしても現地の言葉、たとえばベトナムだったらベトナム語を話せる必要がある。また、生産現場で必要になる現地人のマネジャー不足。これらの特殊な人材の採用難が、ハードルを高くしている」(ジェトロ伊藤氏)

目的意識がなければ市場は開拓できない

 「市場の確保」を実現するためには、経営者自らが足で稼いだネットワークが非常に重要になる。

職人による手作り、マルサ斉藤ゴムの風船

 風船の製造と販売を手がけるマルサ斉藤ゴム(東京都墨田区)社長の斉藤靖之さん(39)は、少子化で風船の需要が落ちる中、出生率の高いアジアの新興国に新しい販路をつくることができないかと考えていた。ちょうどその頃、ジェトロの知人から得た情報を元にマレーシアで行われた生活雑貨の展示会に足を運んだ。すると、商品に興味を持ってもらうことができ、早速「取引したい」というバイヤーが現れて、現地での販売につながった。

 14年7月からクアラルンプール市郊外のショッピングモールでの販売を始めた。だが、売り上げは想定していたほど伸びなかった。商品への関心は高いのになぜか。原因を調べてみると、店舗周辺に風船を求める若年の客層がいないことが分かった。現在は、市内の別地域での販売に向けて動いているという。この第一歩がきっかけになって他のアジア地域への販路拡大にも動き始めている。


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