歴史を教える日本、最先端の知識を教えるアメリカ
私の所属するUCSB(カリフォルニア大学サンタバーバラ校)では、「大学教授たるもの、どんどん外へ出て、生きた知識を吸収し、それを学生に教えるべし」とされている。
2014年ノーベル物理学賞を受賞した中村修二氏(写真:小平尚典)
「外へ出る」というのは、自分でスタートアップを立ち上げるとか、企業のコンサルティングをするということを指す。そうして得た最先端の知識を学生に教える。
教授自らがスタートアップに携わることは、UCSBに限った話でなく、アメリカでは一般的だ。そもそも工学部の教授の場合、ほぼ100%が企業に勤めた経験をもつ。
一方、日本の教授は、博士号を取得して、大学で助手からスタートして……と、外で活動をしていないことが多い。
そのため、講義は教科書中心となる。教科書というのは過去の話をまとめたもので、歴史の講義をしているようなものだ。これでは学生は最先端の知識を学べない。
この話を日本の大学教授にすると、「その通りです」と納得することが多い(苦笑)。日本の先生方も分かっておられるが、仕組みの問題なので、どうすることもできない。