スタートアップが人を集めるワケ
アメリカの学生はトップ層でも卒業後、スタートアップに就職したり、スタートアップを起こしたりすることが一般的だ。日本のようにほぼ全員が大企業を目指すなどということはない。
サンフランシスコ市内のカフェに集まるスタートアップの経営者たち。今シリコンバレー界隈では、ハードウェアスタートアップブームが訪れている(写真:小平尚典)
大企業へ勤めることと、スタートアップへ勤めることは、福利厚生等を含めて条件面で大差ない。ドクターなら1年目で1000万円も珍しくない。加えてストックオプションの魅力がある。
大企業であれば、ストックオプションの価値はそう変わらないが、スタートアップのストックオプションは、大化けする可能性を秘める。
こんなことができるのもベンチャーキャピタル(VC)によるスタートアップへの投資が活発だからだ。日本ではVCが少なく、スタートアップを起こした場合、主に銀行から借りることになるが、銀行は担保を求める。事業が失敗すれば、場合によっては親戚まで路頭に迷うことになる。
これでは新しいことに挑戦しようという若者が増えなくて当然だ。アメリカでは事業が失敗したとしても、基本的にVCが損をするだけだ。起業する側のリスクは日本より低い。
日本のように「銀行から何とかしてお金を借りてきた」という状況では、お金を使うことが惜しくなって当たり前だ。思い切ったことをできるはずがない。