Wedge REPORT

2015年2月19日

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インターネットとクレジットカードがあれば
輸出は可能

【Facebookで海外の技術者とつながる】
メトロールはフェイスブックを通じて、海外の技術者とも繋がっている。同社の英語版フェイスブックでは3万を超える「いいね!(likes!)」がつけられ、常にCNC工作機械で金属加工を行う3万人以上の技術者との交流の場となっている。海外の技術者を対象に「愛する機械と腕自慢写真コンテスト」を開くなど独創的な発想が活気を生む。企画したのは同社の若手社員だ。フェイスブック経由で「こんなスイッチは作れないか」という相談を受けることもある。中小企業もフェイスブックで海外の顧客とつながることは可能なのだ。

 市場の確保や人材の獲得に動き出す前に、取り組めることもある。メトロール(東京都立川市)はiPhoneの画面ガラスや、筐体の削り出しなどに使われる「工作機械用ツールセッタ」で世界トップシェアを誇る。08年の上海にはじまり、現在は世界4カ所に支店を持つようになった。だが、初めての海外への販路拡大で役に立ったのは「インターネットとクレジットカード」だと、社長の松橋卓司さん(56)は話す。

 「まず英語と中国語のホームページを立ち上げること」。そして、グーグルのアドワーズ広告にキーワード登録すれば、全世界に向けて自社の情報を発信できる。この時に「『センサー』という漠然とした単語で登録するのではなく、『位置決め』などと、絞り込むことが大切」だという。

 また、日本では手形などで支払いを済ませる商習慣があるが、英語圏ではクレジットカードで法人間の支払いができる。「ゴールドカードなら100万円まで取引できる。直取引だから余計な仲介手数料も発生しない」(松橋社長)。

 ネット輸出のきっかけになったのはまだインターネットの黎明期だった98年のことだ。アメリカの地方の町工場からファックスで商品の注文が入った。ちょうど、シカゴの展示会に参加する予定だったので、注文主がわざわざ自動車で10時間かけて商品を受け取りに来てくれたという。

 松橋社長が、なぜそこまでしてこのセンサーが欲しいのか尋ねると「お前のセンサーがこっちでは、10倍の値段で売られているんだ」と言われた。驚いて調べてみると海外の顧客との間に多くの仲介業者が入ることで価格が上がり、納品までに何カ月もかかっていることが分かった。そこで電子商取引(EC)サイトを海外顧客向けに立ち上げた。

 「インターネットは世界につながるどこでもドア」と、松橋社長は周囲の仲間にもネット輸出を勧めている。長らく続いた円高を耐え忍んで来た中小企業にとって円安という「最大の福音」(同)が訪れた。このチャンスを逃す手はないはずだ。

  
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◆Wedge2015年2月号より

 

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