Wedge REPORT

2015年2月19日

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 斉藤さんは初めての国を訪問する場合、ジェトロの1時間無料相談サービスを利用するという。斉藤さんにとって必要な情報は若年層が集まるショッピングの場所。事前にそうした場所のリストアップを依頼し、現地の事業所に足を運ぶ。後はそのリストを元にタクシーで現場を回り、自分の目で市場調査をしている。

 ジェトロの伊藤氏によると「知りたい情報を明確にして目的意識を持って来てもらえると、相談の内容も充実する」と指摘する。

人材の手当てに役立った研修生

 「人材不足」という課題に対しても市場の確保と同様のことが言える。大成美術印刷所(東京都中央区)は06年、製造拠点の工場をベトナム・ホーチミンに作った。国内の大手取引先の工場建設に引っ張られる形ではあったが、仕事の保障は無かった。そこで社長の新保大八さん(47)は「自ら採算に見合うだけの市場を開拓する」という意気込みで海外に進出した。

 同時に必要なのが人材の確保だった。印刷機のオペレーターは技術を習得するまでに、最低でも訓練に3年はかかる。採用して一から教育するにはコストもかかる。そんな中、関西の同業者から帰国する予定だったベトナムの研修生がいるという話が耳に入ってきた。早速、新保さんは現地に赴いた。

食べ物を模したデザインがアメリカでも好評を得た大成美術印刷所のメモ帳

 他社が育てた人材を譲って欲しいと頼むのは心苦しくもあったが、6人の社員を採用することができた。「外国人技能実習制度」で3年間技術を習得しても、帰国後、習得した技術が活かされていないことが少なくないのが実態だ。そのため「母国で技術を活かしてもらえるのであればむしろありがたい」と、新保さんの要請は受け入れてもらえた。

 このようにして海外に出たことで、その後ニューヨークの展示会に出展したり、MoMA(ニューヨーク近代美術館)が商品に注目したりと、次の商機が生まれた。

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