2024年12月23日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年2月25日

 最初にサウド家の安定がある。サルマンはムクリンを皇太子に、モハメッド・ナエフ(イブン・サウドの孫世代)を副皇太子に任命した。継続性と将来の枠組みができた。

 しかし、継続性以外にも問題はある。

 第1に、石油の問題がある。サウジは減産をせず、原油価格下落をもたらしている。石油価格は乱高下し、これは世界経済にもサウジにも良くない。サウジは、国民に福利を与えて安定を維持してきたが、原油価格下落のなか、いつまで続けられるのか問題がある。

 第2は、宗教的寛容を進展させ得るかの問題である。アブドラ国王は宗教保守派と対決しえなかった。サウジが厳格なイスラム教をとっているのは、サウジだけではなく、世界的な問題である。サウジがワッハーブ主義を推進し、ジハード主義に対抗していないと西側の多くは疑っている。

 第3に、イランとの関係である。サウジとイランの対立はシリアやイラクの内戦をもたらした。イエメンではサウジの同盟者が崩壊した。サウジとイランは地域でのスンニ派とシーア派の対決を終わらせられないか考えるべきである。

 サウジの新国王がこれらの問題にどう対処するかは、サウジのみならず、世界にとり重大な影響がある、と論じています。

出典:Washington Post ‘New challenges come with new leadership in Saudi Arabia’(January 23, 2015)
Financial Times ‘New Saudi king faces immense challenges’ (January 23, 2015)
http://www.washingtonpost.com/opinions/new-challenges-come-with-new-leadership-in-saudi-arabia/2015/01/23/1bbeb470-a322-11e4-b146-577832eafcb4_story.html
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/0eb51cac-a2f4-11e4-ac1c-00144feab7de.html#axzz3PbBd6lw5

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 上記の2つの社説は、アブドラ国王の逝去を受けての社説として、常識的なものと言えるでしょう。


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