石油価格は、死去の報を受けて少し上昇しましたが、新国王が政策の継続性を強調する発言を行ったので、落ち着いています。減産はせずとの従来の路線は維持されるのでしょう。
サウド家内部の安定や結束については、サルマンの国王就任も、ムクリンの皇太子任命も順当であり、問題にはなりません。ナエフ内相の副皇太子任命は、初代国王の孫が初めて王位継承者として出てきたという意味で、意義があります。世代交代はもっと早く進んでもいいことでしたから、これはいいことでありましょう。
王位継承関連と同時に、首相の交代、バンダル国家安全保障会議事務局長(元駐米大使、前情報庁長官)の更迭、アブドラ前国王の二人の息子である、トルキー・リヤド州知事、ミシュアル・メッカ州知事の解任、など大幅な人事異動が行われ、そのほか政府の調整委員会の整理統合も行われました。これはサウジらしからぬ速さで行われ、しかも大幅なものであります。これがサウド家内部の安定と結束に波紋を起こさないか、注意してみる必要があるでしょう。
これらの社説は、イラン、ひいてはシーア派との関係、国内政治の改革、厳格なイスラム教の緩和や宗教的寛容の必要性を指摘しています。しかし、これらは長期的課題であり、サウジ指導部が国内事情も踏まえ、決断する問題であり、もっと時間をかけて見てみるべきでしょう。
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