2024年12月3日(火)

今月の旅指南

2015年5月22日

 白鳳時代、飛鳥の地に創建され、1300年前の平城京遷都で現在の地に移った奈良の薬師寺。修復が進められている東塔と対をなす西塔に、「釈迦八相(しゃかはっそう)」のうち、このほど新たに制作された四相像が奉納、6月5日から拝観できる。

 「釈迦八相」は、釈迦の生涯を因相(いんそう)と呼ばれる、入胎(にったい)、受生(じゅしょう)、受楽(じゅらく)、苦行と、果相(かそう)と呼ばれる、成道(じょうどう)、転法輪(てんぽうりん)、涅槃(ねはん)、分舎利(ぶんしゃり)の合わせて8つの場面に分けたもの。今回は、このうち果相にあたる四相像が奉納され、西塔の初層内陣の東西南北の扉を開いて公開される。

西塔に安置される「釈迦八相」のうち《涅槃》

 かつて薬師寺では、東塔と西塔にそれぞれ東西南北の4面に塑像(そぞう)群を祀って、人々に仏の教えを伝えていた。その後、西塔の塑像は享禄(きょうろく)元年(1528)の兵火で塔とともに焼失、東塔の塑像も長い年月の間に断片を残すのみとなり、近代になってからは、東塔に苦行像、西塔には四相の木像が祀られてきた。

 新しい釈迦八相像は、彫刻家・中村晋也氏が手掛けるもので、単体の仏像ではなく、壮大なスケールの群像形式で各場面を表したブロンズ製の像となる。中村氏は、平成14年(2002)にも、釈迦の弟子のなかで特に優れた十人の姿をそれぞれ像にした「釈迦十大弟子」を薬師寺に奉納しており、こちらは境内の大講堂に安置されている。

薬師寺西塔 「釈迦八相」四相像公開
<期間> 6月5日~
<会場>奈良市西ノ京町・薬師寺(近鉄橿原線西ノ京駅下車)
<問>☎0742(33)6001
http://www.nara-yakushiji.com/index.html

*情報は2015年4月現在のものです。料金・時間・休館日などの詳細は、お出かけの際、現地にお確かめください

  
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◆「ひととき」2015年6月号より

 


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