Wedge REPORT

2015年7月7日

»著者プロフィール
閉じる

中西 享 (なかにし・とおる)

経済ジャーナリスト

1948年岡山県生まれ。72年共同通信社に入社。88年から91年までニューヨーク特派員、経済分野を取材し、編集委員を経て2010年に退社。現在は経済ジャーナリスト。著書は「ジャパンマネーの奔流―ニューヨーク・東京・ロンドンの24時間」(1987年、ダイヤモンド社)、「日本買い 外資は何を狙っているか」(2005年、PHP研究所)など。

Q:高校教師など多くの関係者が視察に来ているがその目的は何か。

画像:iStock

A:昨年1年間で全国から59の高校、教育委員会の関係者が視察に来られた。中には大学合格者を増やすのが目的で視察に来られるが、約1年半で論文という形で学習の成果をまとめる「探究基礎」の授業と「教科指導」の両立や、生徒が自分たちのリーダーを決めて主体的運営する「海外研修」「学校説明会」「探究基礎委員会」などの委員会やスタッフ活動の多さを見て驚かれる。

 昨年11月に学校改革をテーマに視察に来た高知県教育委員会からは、視察を受けてから県立高校の教師1名を堀川高校に派遣したいという申し出があり、今年4月から3年間受け入れることになった。

Q:文部科学省がグローバルな人材育成を行うための研究開発を行うスーパーグローバルハイスクール(SGH)、理数系教育の研究・実践を重点的に行うスーパーサイエンスハイスクール(SSH)、国際バカロレアの趣旨を踏まえた教育の推進に関する調査研究の指定校にそれぞれ選ばれているが、選ばれた理由は何か。指定を受けたことでどのようなメリットがあるか。

A:14年3月にSGHの指定を受けた。期間は14年度から18年度までの5年間。SSHは02年に第一期指定校になり、引き続き05年、10年にも5年間の指定を受けた。最大のメリットは研究の過程で外部評価を受けることによって、日々の授業はもとより、堀川の柱でもある「探究基礎」を検証して常にブラッシュアップすることができたことだ。

 そのことが校内の授業の研究開発力を高め、「探究基礎」のステップアップにつながっている。例えば、今年度からは科学的な思考力の向上にとどまらず、それを表現するための言語能力の育成を軸とした取組の実践と評価の充実に、また、SGHでは、「しなやかさとしたたかさを備えた青年の育成」をテーマとし、実践的かつ挑戦的な国際課題の解決のためのゼミ活動を進めている。

 こうした複数の指定を進めることにより、「探究基礎」の課題設定に世界を俯瞰する視点をより意識するようになり、課題研究の到達点を論文にとどまらず社会での実証にまで高められるようになった。

 教育条件という面からも大きなメリットがある。国からは支援経費として合計で年間2000万円ほど支給を受けている。これを海外研修の支援や、実験器具の購入、「探究」授業でアドバイスしてくれている大学院生に対する礼金に充てることで、研究開発、探究活動を思い切りやれる恵まれた環境を準備することが可能となっている。

Q:堀川高校の今後の課題は何か。

A:生徒に対しては実社会と校内での学びをより意識させていきたい。具体的には「探究」の成果を校舎の外で試すことを目指す「自主ゼミ」を、大学の研究機関と合同で展開したり、海外の高校生とのディスカッションをはじめ交流を広げていきたい。

 現在、京都市内の小学校や中学校、高等学校や総合支援学校へ、研修や連携事業を通して、「探究活動」の理念や指導方法の普及に取り組んでいるが、それだけにとどまらず、文部科学相の諮問機関である中央教育審議会などで議論されているアクティブラーニングによる指導法なども全国へと発信していく使命があると思っている。

関連記事

新着記事

»もっと見る