2024年12月22日(日)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年8月24日

 ブレア元米太平洋軍司令官とハンツマン元駐中国大使が、7月13日付け Defense News掲載の論説にて、南シナ海に関し、米国は中国以外の係争国に、領土および資源の配分に関する合意をつくらせ、それを法的、政治的、軍事的行動によって支持すべきである、と軍事的自制を求める提言をしています。

画像:iStock

 すなわち、米中関係は新しい段階に入った。米中関係は独特の協力と競争の関係にあるが、それは南シナ海において特に顕著である。軍事的な侵攻に至らない行動をとる中国の現戦略は明白だ。南シナ海の非軍事的な実効支配を強め、将来的には正式な法的支配を目指すというものだ。米国のこれまでの対応は、効果を上げていない。

 米国は、二つの目標を達成すべきだ。一つは、グローバルな公共財を守り、米海、空軍及び民間船舶の航行の自由を護ることである。二つ目は、中国の、軍事的、経済的強制や政治的攻勢による支配を防ぐことである。

 米国の南シナ海戦略は、中国の経済的、外交的役割の拡大を歓迎するという、より大きな戦略の一部でなければならない。しかし、中国による強制的手段や侵略を通じる領土拡大および米国の西太平洋における完全な行動の自由に対する拒否能力に対し、明確な限界を設けるものでなければならない。

 この戦略には、以下の要素が含まれるべきである。

 ・中国以外のすべての係争国及び域外国が支持できる外交的合意の達成:中国の参加の有無にかかわらず、係争国(ベトナム、フィリピン、マレーシア、ブルネイ)は中国の参加を想定して、それぞれの間の領土および資源の配分を決める、中国以外の国々による共通の解決方法をつくり上げる必要がある。

 ・外交的合意は、国連海洋法条約に規定される海洋の自由を保障するものでなければならない。

 ・合意が達成されれば、米国は一連の法的、政治的、軍事的な行動によって支持するべきである。米国は、軍事力を誇示する行動に直ちに出るべきではない。関係国が自らの領土を守り、資源を開発し、航行の自由を強化することは支援できる。アメリカの行動は全面的なものであるべきであり、軍事に限定されるべきではない。


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