2024年12月2日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年7月15日

 台湾の馬英九総統が、自らが提唱している「南シナ海平和イニシアチブ」をアピールする文をウォール・ストリート・ジャーナル紙に寄稿し、6月11日付同紙に掲載されています。

馬英九総統(画像:Getty Images)

 すなわち、台北での最近の会議における基調講演で、私(馬)は、南シナ海での緊張に対処する実際的で実現可能な解答となる、「南シナ海平和イニシアチブ」を提案した。提案の趣旨は、焦点を、領域紛争から資源の共同開発に移すことである。主権は分割できないが、資源は共有し得る。

 この手法は、これまでも台湾の役に立ってきた。過去7年、私の政権は、「統一せず、独立せず、武力行使せず」という安定的で現実的な政策で大陸との関係を処理してきた。これにより、台湾海峡には、過去66年間見られなかったような平和と繁栄がもたらされた。

 同様の提案は、尖閣をめぐる領土紛争が続く東シナ海でも建設的役割を果たした。2012年9月、日本は尖閣の国有化を決定し、中国各地で大規模な反日デモが起きた。対立を予期し、私は、同年8月に「東シナ海平和イニシアチブ」を提唱し、日本に、紛争の棚上げ、国際法遵守、資源の共有と共同開発の交渉への参加を呼びかけた。緊張の急速な高まりに直面し、日本は提案に前向きに反応し、2013年4月には日台漁業取り決めが調印された。

 今、「南シナ海平和イニシアチブ」により、私は、再び全当事者に、和解と協力の精神で、不可能に見えるミッションを可能にするよう呼びかけている。

 南シナ海において、台湾は1956年以来太平島に軍を駐留させ、歴史的、地理的、および国際法上の強固な根拠に基づき、南沙、西沙、中沙、東沙の各諸島と周辺の海域が中華民国の固有の領土、領海である、と主張している。


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