中国は民進党を独立勢力として警戒し、「92年コンセンサス」の受け入れを両岸関係の前提条件と言っている一方、中国の経済発展が台湾人の心を掴んで統一に至るとの希望も捨てていないようである、とDiplomat誌のティエッツィが、3月5日付同誌ウェブサイトで報告しています。
すなわち、習近平は、3月4日の中国人民政治協会のメンバーとの討論で、平和的な両岸関係の発展と、台湾独立に対する「高度の警戒」を求めた。
習は、全台湾人に対し、全般的な平和維持、特に両岸関係の平和的発展を求めた。中台双方に、確固として平和的発展を追求し、共通の政治的基礎を支持するよう求めた。
両岸関係強化の支持と軌を一にして、「台湾独立の分離主義的な勢力」への断固たる拒否を表明した。習は、台湾独立勢力を、両岸関係の最大の阻害要因、両岸の安定への最大の脅威と言い、台湾独立は国家主権と領土の保全への脅威であるから断固として反対しなければなない、と述べた。
習の発言は、台湾の民進党へのメッセージであるように思われた。中国は、陳水扁前政権の時代以来、民進党と台湾独立を直結させてきた。陳水扁は、台湾の政治制度に関する国民投票を実施しようとし、任期中、台湾が国連で議席を獲得できるよう運動した。北京の民進党への警戒は今も続いている。
中国は、来年の選挙で民進党が勝ったとしても、両岸関係を特徴づけている国際的曖昧さが新総統によって確実に維持されるようにしたいと考えている。それで、習の台湾独立への警告は、「92年コンセンサス」(「一つの中国」についての解釈権は中台それぞれに留保される)の重要性の強調とセットになっている。
民進党は公式にはまだ「92年コンセンサス」を受け入れておらず、中国は不安を募らせている。習は、人民政治協会での発言で、「92年コンセンサス」は両岸関係の前提条件であると明言した。民進党がこの原則を受け入れなければ、民進党の総統の下では、両岸関係は止まってしまうかもしれない。他方、習は、台湾の当局者が「92年コンセンサス」を受け入れる限り、いかなる台湾の政党や組織が大陸側と接触するのにも障害はない、と言っている。