台湾の統一地方選挙の結果は、馬英九政権への不信任であり、馬英九総統はレームダック化が進むであろう、と11月30日付台北タイムズ社説が述べています。
すなわち、11月29日の九合一選挙(統一地方選)は国民党政権への信任投票であったが、結果は明確な拒絶であり、国民党は、地滑り的大敗を喫した。直轄市のうち、既に民進党が制していた高雄、台南に加え、台北、桃園、台中を失った。基隆、彰化、澎湖県も失った。これは、有権者が政権に不満を抱いていることを明確に示しており、馬英九に打撃を与え、ポスト馬英九時代の到来を告げることとなった。
最も特筆すべきは、無所属の台北市長候補・柯文哲が、国民党の連勝文を終始リードしたことである。柯は、支持してくれる党組織も政治的経験もなく、限られたリソースしか使えなかったが、連は、国民党の潤沢な資金、集票組織、都市部での強固な支持によって支えられていた。台北は、陳水扁が市長として大きな実績を挙げたにもかかわらず、再選を阻まれたような地域である。しかし柯は、藍緑(国民党派と独立派)の分裂を乗り越え、両陣営の有権者に上手く訴えかけ、ソーシャル・メディアの助けを借りて若い有権者を動員し、連にプレッシャーを与え続け、国民党支持層に亀裂を入れた。
連は、裕福な政府トップ(連戦)の子息というイメージを崩せず、柯へのネガティブキャンペーンも奏功せず、却って柯の政治姿勢への支持を高めただけだった。
地方選挙に中央政府は関係なく、地方の候補者の政策と手腕が争点となる。しかし、馬政権の仕事ぶりのまずさが、汎緑陣営(独立派)の大勝に繋がった。
馬は、当然責任をとって、党主席を辞するべきである(注:その後、馬英九は党主席を辞任した)。馬は、党、政府、軍をコントロールできないレームダックとなろう、と述べています。
出典:‘A vote of no confidence in KMT’(Taipei Times, November 30, 2014)
http://www.taipeitimes.com/News/editorials/archives/2014/11/30/2003605606
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今回の台湾の統一地方選挙において、与党国民党は一般に予想されていた以上の惨敗を喫しました。総人口の7割以上を占める6直轄市において、国民党は現有の4ポストのうち3ポストを失い、わずか1ポスト(新北市)のみを保持することとなり、また、その他の22ある県・市長のポストを見た場合、国民党は現有の15ポストから6ポストに減少し、他方、民進党は6から13へと大きく伸びました。