10月31日付け台北タイムズ社説が、中台間の諜報活動や香港の「雨傘革命」をめぐる対応が中台関係を冷却化していることを指摘し、中国と適度な距離を保つことが台湾外交にとってプラスになる、と述べています。
すなわち、馬英九総統の就任以来、台湾側があらゆる妥協をしてきたにもかかわらず、両岸関係には警戒すべき兆候がある。
10月27日付け環球時報は、台湾にいる中国人学生がスパイとして台湾の安全保障当局によりリクルートされている、と報じた。国務院台湾事務弁公室(TAO)の范麗青(Fan Liqing)報道官は、台湾はこうした行為を直ちに止めなければならない、と繰り返し強調しており、この問題が容易ではなく、両岸関係は変化しつつあることを示している。
今年、ひまわり運動によって、両岸サービス貿易協定の立法院通過が阻止された。8月には、馬政権は、行政院大陸委員会の張顯耀(Chang Hsien-yao)元副主任が、機密を漏えいしたとして告発した。張は、中国にスパイとしてリクルートされたとの噂がある。この件により、両岸関係は、厄介な行き詰まりに陥っている。
中国は、香港の「雨傘革命」が、台湾の独立要求を刺激することを懸念しており、習近平は「『1992合意』(注:一つの中国を認めるがその解釈は中台それぞれに委ねられる)に代わり『一国二制度』が台湾にも適用される」と言った。それに対し、馬は、香港のデモを支持し、「中国が民主主義の享受を認めることを望む」と述べた。TAOは、直ちに「台湾は香港の政治改革について無責任な発言をするべきでない」と応じた。
馬政権は、両岸関係において、常に中国のリードに卑屈に従ってきたが、もはや以前ほど熱心ではない。これは、台湾と中国、台湾とその他の国々の関係に均衡を取り戻すことになるだろうから、台湾にとって良いことである。たった数カ月で、両岸関係が互角の関係に戻ったのは、最近の中台関係が「冷たい平和」ではなく「冷たい戦争」だったということである。