2024年12月23日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年11月3日

 行政長官の選挙制度変更をめぐる香港での抗議運動に対する台湾の反応、また、抗議運動が台湾に与える影響について、Diplomat誌のティエッツィが、10月1日付同誌ウェブサイトで報告しています。

 すなわち、中国政府が、香港での抗議運動にどう対処するかは、中台関係と台湾の国内政治に影響を与えるであろう。

 馬英九総統は、9月29日に、「世界台湾商会連合総会」の年次会合で、「香港住民が、行政長官の自由な指名と選挙を求めることを、よく理解し支持する。本土の当局が香港住民の声を注意深く聞き、平和的で慎重なやり方で事態に対処するよう要求する」と言った。抗議者に対しては、平和的で理性的なやり方で意見を表明するよう求めた。

 台湾の活動家は、香港の「雨傘革命」を支持するデモを行い、また、香港を注意深く観察している。

 香港の抗議運動は、中台関係により慎重な民進党の勢力を強める可能性がある。9月30日の記者会見で、民進党のJoseph Wu(吳釗燮)秘書長は、全ての人々には民主主義、人権、自由を追求する権利があると強調し、中国及び香港当局に自制を求めた。民進党の蔡英文主席も、香港の抗議運動が始まった9月28日(民進党創立28周年に当たる)に、「今日は、民進党創立記念日を祝うよりも、香港への支持を表明しよう」と述べた。

 国民党と民進党からの発言は、ともに、香港が完全な民主主義を求めることを支持し、北京に自制を求める点で同じだが、相違点もあり、それが両者を政治的に隔てている。

 馬英九は、北京が香港に対する約束を守ることへの希望をまだ捨てていない。一方、民進党は、長年、過度の対中接近には反対しており、香港の抗議運動を、民進党の警告が正しかったことの証明であると見ている。Wuは、北京が香港をどう扱うかを見れば、台湾人は中国の統一の結果何がもたらされるか分かるであろうと指摘して、台湾への影響を強調した。


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